近頃話題の3Dプリンターだが、医療分野でも活躍が期待されている。一般社団法人「3Dデータを活用する会」理事長の相馬達也さんが言う。
「医療分野での活用が期待されています。腎臓や肝臓など患者の臓器模型を作り、医師たちが患者の手術法をシミュレーションしたり、研修医が手術のトレーニングをしたりするために使われはじめている。海外では骨の欠損部分に充てるインプラントやブリッジ(欠損歯の代わりとなる人工の歯を両隣の歯にかぶせる冠と一体で作ったもの)が作られています、個人の耳に合わせた補聴器も製作可能です。
また建築分野では模型造りへの活用が見込まれているほか、ジュエリーの金型作りにも利用され始めています。カスタマイズ品を1個から安く作れるのが3Dプリンターの魅力なのです」
米国や中国では模型の臓器ではなく、患者の軟骨や皮膚といった実際の治療に使えるものを作る研究が進められている。
「オーダーすると100万円以上する義手や義足は樹脂素材で数千円で作ることができます。実際にアメリカで10才の女の子が両親に義手を作ってもらった事例があります。子供は成長が早く、すぐにサイズが変わってしまうので、安く作れるメリットは大きい。細胞と水を使って、汗腺や毛穴まで備えた皮膚を作る研究も海外では進められています」(3Dプリンターの製造・販売会社Genkeiの加藤大直CEO)
皮膚が簡単に3Dプリンターで作れるようになれば、皮膚移植も身近になるだろう。美容整形分野で活用され、憧れの美肌が簡単に手に入る日が来るかもしれない。
※女性セブン2014年11月28日号