国内

高級海産物密漁 地元を潤し街の経済を間接的に支えることも

 アワビ、ウニ、カニといった高級海産物の“密漁”が、暴力団の巨大シノギとなっている──。「食の合法性」を問題視してこなかったこの国の現実を、フリーライターの鈴木智彦氏が鋭く突きつける。

 * * *
 北海道に青い珊瑚礁はない。熱帯魚が泳ぐダイビングスポットもない。が、北の大地にもダイビングショップはある。道東の店舗の大得意は密漁団だという。

「毎朝、うちの事務所の前にボンベが10個くらい置いてあります。うちとしてはそのボンベに空気を入れるだけ。こんな寒い時期、北海道で毎日それだけのボンベを使うのだから、誰が見たって密漁者。

 うちの店が、お客さんの仕事まで詮索する必要はないんで黙ってます。海保の職員はみんな知ってます。うちの店に張り込んで、密漁団の使っている車を割り出すんです。聞かれたら知ってることだけ話します。どっちにもです。海保のスパイでもあるし、密漁団のスパイもやってる」(ダイビングショップの店長)

 地域の人間も、おおかた密漁団のことは知っている。日本での密漁は、地域がそっくり共犯者になるケースが多い。

「俺たちのおかげで安い魚が食える。おばちゃんたちのパートも生まれる。俺たちを逮捕したら、市民が黙っていない」

 海保の取り調べに対し、そう豪語した密漁団のボスもいたらしい。こうした密漁システムは、地元を潤し、街の経済を間接的に支えているのだ。

※週刊ポスト2013年10月4日号

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン