住まいの雑学
15
コマツナ
2011年12月25日 (日)

【動物の家シリーズ(10)】春までスヤスヤ、憧れの“冬眠生活”! ヤマネの冬の過ごし方とは!? 

日本列島にやってきたキビシイ冬。
「ああ、いっそ春が来るまで眠らせて~」という人間の嘆きをよそに、 半年近く眠り続ける“冬眠のプロ”、それが「ヤマネ」です!冬の間はさぞかし気持ちいい家で寝ているに違いない。 憧れの“しあわせ冬眠生活”、その真相に迫ります。

あ~、寒い寒い!!! お気に入りの穴にこもって、ひと冬まるっとスキップしたーい。

【動物の家シリーズ(10)】春までスヤスヤ、憧れの“冬眠生活”! ヤマネの冬の過ごし方とは!? 

キープやまねミュージアム

そんな我らの夢を地で行くのが、このピンポン玉サイズの毛玉――もとい、ヤマネです。手足を縮め、体を丸めて、しっぽをクルッと体に巻きつけてっと……。
こうなればもう爆睡です。ちょっとつついたくらいじゃ起きません。
ムニャムニャしたり、二度寝したりして、目覚めるまでにかかる時間はなんと50分以上!(会社員だったら完全に遅刻です)

そんなヤマネの冬眠期間は、秋~春。1年の半分をスヤスヤ眠って過ごします。いったいどれほど気持ちいい家で寝ているんでしょう?

「いや、子育ての時期は別にして、ヤマネは家を持ちません。眠るときは花の蜜や甘い実、昆虫をたくさん食べてまるまると太ってから、落ち葉の下や木のうろにもぐったり、木クズでカプセルのように体を覆ったりして眠りにつきます」
そう教えてくれたのは、山梨県清里にある「やまねミュージアム」の湊秋作(みなとしゅうさく)館長。ヤマネは、眠るときだけ自分のシェルターを持つようです。

【動物の家シリーズ(10)】春までスヤスヤ、憧れの“冬眠生活”! ヤマネの冬の過ごし方とは!?  「実はそのシェルター選びがとても重要で、間違えると大変です。痩せた木のウロ(樹洞)などを選んでしまうと、寒波が来たときに寒過ぎて寝られません。ヤマネは、気温がマイナス7度を切ると危機を察して場所を移動するのですが、ウロから出てみたらあたり一面銀世界……なんてことがままあります」

そんなとき、ヤマネはどうするんですか?
「あくまでも緊急避難先としてですが、雪の中にダイブします。積もった雪を掘ってかまくらをつくり、その中で眠るのです。しかし、その穴が空腹の獣に見つかれば、
ご存じのとおりヤマネは寝ぼすけなので――」
――目が覚めたときには獣の腹の中である、と……。壮絶すぎる。軽々しく冬眠したがってすみませんでした。

「とはいえ、マンモスでさえ死に絶えた氷河期を生きのび、500万年にもわたって地球に生存してきたのがヤマネです。それが可能だったのは、体温を0度近くまで下げ、心拍数や呼吸数も減らして眠ることができたから。まさに眠ることは生きる力で、カロリー消費を極力抑え、夏に食べ貯めたエネルギーをじわじわと使うのがヤマネスタイルなのです」
憧れからは遠かったヤマネの“冬眠生活”。
我々の家といえば、風雨をしのげる安全な家で、お風呂があって、布団があって(ことによっちゃあコタツもあって)。捨てたもんじゃなかったんですねぇ……zzz。

<本日の暮らしのヒント>
春。清里では、ねぼすけヤマネが起き出すころです。そして、たった40日程度の短い子育てのために、母ヤマネが小さな巣をつくります。

「ヤマネの家は、身近なところで材料を調達してつくる“地産地消”の家です。巣材は、繊維性のコケや樹皮です。これらを使って、まるで“森の糸”をあやつるように編んでいくんですよ」と湊先生。
頑丈な樹皮やコケを何層にも編みこんで、最後はやわらかいコケを敷いてフカフカにするのがヤマネ流。こうすれば保温にすぐれ、赤ちゃんの体温を守ることができる家のできあがりです。場所は、木のウロの中や枝の上などが多く、周りに緑が多い場合は外壁に緑のコケを敷き詰めて、カムフラージュすることもあるそう。
「余談ですが、子育て中のヤマネの家にドアらしきものがあったので、そっと押して中をのぞいてみたことがあります。すると、中から母ヤマネにドアを閉められました(笑)。のぞかれたくなかったんでしょうね」
ちっちゃいヤマネの世界も「母強し」、でしたか~。

<まとめ>
子どもを育てるなら、温かくてフワフワな部屋がよし。母、強ければなおよし。

<豆知識>
和名:ニホンヤマネ
学名:Glirulus japonicus
分類:ネズミ目ヤマネ科
サイズ:体長8cm程度(しっぽが5cm)
特徴:天然記念物・準絶滅危惧種
得意技:逆さ走り・忍者走り
裏の顔:蛾なども頭をひきむしってムシャムシャ食べる

前の記事 コタツVSエアコン 暖房費はどちらが節電になる?
次の記事 省エネで需要増大の窓用フィルム、 冬場は断熱タイプと遮熱タイプどちらがい…
SUUMOで住まいを探してみよう