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西村 祥子
2014年11月7日 (金)

あなたの近くにもきっとある!便利でオトクな「コミュニティバス」

あなたの近くにもきっとある!便利でオトクな「コミュニティバス」(写真:iStock / thinkstock)
写真:iStock / thinkstock

「コミュニティバス」というものをご存じだろうか? 「公共交通が空白または不便な住宅地区などで、高齢者や体の不自由な方にも安全で利用しやすく、地域住民の多様なニーズにきめ細やかに対応する地域密着型バスシステム」のことで、近年では都心でもたくさん運行されている。多くの自治体が立ち上げや運営に関わり、実は私たちの身近なところを走っているコニュニティバス。車体にも個性あふれる、その小さなバスの魅力を取材してみた。

先駆けと言われる武蔵野市の「ムーバス」以来、路線数は全国に500以上

「コニュニティバス」は全国各地に数多く存在し、その数はざっと500以上。その先駆けと言われているのが、1995年に登場した東京都武蔵野市の「ムーバス」だ。

【画像1】ムーバス(写真提供:東京都武蔵野市) 

【画像1】ムーバス(写真提供:東京都武蔵野市) 

もともとはバス路線が幹線道路沿いにしかないなか、もっと身近なところを走る路線を整備することで、高齢者や子育て中の家族などを含む、すべての人が気軽に安全に街に出られるようにすることを目的に運行がスタート。運行は民間バス事業者に依頼し、赤字分を自治体が補てんするという形で運営されている。現在は7路線9ルート、年間260万人の方に利用され、平成24年には累計乗車人員が3000万人を突破。この成功が、全国に「コミュニティバス」という形態が広がるきっかけとなったという。

低料金で、公共施設や病院、買い物施設などをまわる循環型のサービスが主流

コニュニティバスの多くは自治体が運営に関わり、住民の利便性向上に寄与する目的が大きいことから、1回の乗車につき100円など比較的低い料金設定になっている。また、多くの人が便利に活用できるように、利用者の多い公共施設や病院、駅や大きな商業施設などにバス停を設けるケースが多い。決められたコースを、15~20分ほどの間隔で循環運行するものも多いので、時間をあまり気にせず、気軽に利用できるのもうれしい。

さらに、通常より小型のバスが用いられることが多く、狭い道路にまで入りやすいのも特徴。古い団地などの細かい道や、建物が密集する市街地でも活躍できることから、近年では都心部での運行も増えている。

【画像2】コミュニティバスとしての採用も多い「日野ポンチョ」は2ドア式でも全長7m未満と小型(写真提供:日野自動車)

【画像2】コミュニティバスとしての採用も多い「日野ポンチョ」は2ドア式でも全長7m未満と小型(写真提供:日野自動車)

地域に愛される小さなボディとユニークな愛称も魅力

コニュニティバスは、それぞれ独自のデザインでペイントされ、親しみやすい愛称を持つものが多い。その一部を紹介してみよう。

●東京都渋谷区「ハチ公バス」
東京都渋谷区の「ハチ公バス」は、東京の都心を走るコミュニティバス。渋谷の待ち合わせといえば「忠犬ハチ公」ということで、公募によりネーミングされたという。車体は路線によって3色。いずれもかわいい犬の絵があしらわれ、見かけるだけで和みそうだ。また、「夕やけこやけルート」(恵比寿・代官山循環)、「春の小川ルート」(本町・笹塚循環)など、沿線にちなんだ路線名もいい。

【画像3】ハチ公バス(写真提供:東京都渋谷区)

【画像3】ハチ公バス(写真提供:東京都渋谷区)

●福島県会津若松市・まちなか周遊バス「ハイカラさん」
福島県会津若松市の「ハイカラさん」は、自家用車でやって来る観光客による渋滞の緩和や、一方通行などの道路事情がよくないなかでも観光地をスムーズにまわれるようにという想いから誕生したコニュニティバス(現在は自治体から会津バスが運営を引き継いでいる)。

もちろん、公共施設などもまわり、1乗車大人200円、子ども100円。ただし、1日フリー乗車券(大人500円、子ども250円)の設定など、観光地ならではの工夫もある。数は少ないが、レトロ調のボンネットバス車もある。

【画像4】ハイカラさん(写真提供:会津バス) 

【画像4】ハイカラさん(写真提供:会津バス) 

コニュニティバスは多くの街で運行されているので、あなたの住まいの近くにもきっと存在するのでは? どんなバスがどんなルートを走っているのか、調べてみるのも楽しそうだ。

また、住まいやお部屋を探している人なら、生活に密着した施設をまわるコニュニティバスはかなり便利な存在のはず。物件探しの際に参考にしてみるのもありかもしれない。

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