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池谷梢 /企画・エフェクト
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2015年1月27日 (火)

室内全体がまるで遊具。栃木の保育園「すみれチャイルド」に迫る

室内全体がまるで遊具。栃木の保育所「すみれチャイルド」に迫る(画像提供:アトリエ慶野正司一級建築事務所)
画像提供:アトリエ慶野正司一級建築事務所

栃木県小山市にある保育園『すみれチャイルド』は、2014年に栃木県マロニエ建築賞・大賞を受賞した。室内全体が遊具のようなつくりとなっているというが、一体どんな保育園なのだろうか? 『すみれチャイルド』の設計・建築を行った『アトリエ慶野正司一級建築士事務所』の慶野氏に話を伺った。

そもそも、『すみれチャイルド』はどのようなコンセプトで建てられたのでしょうか。

「もともとは既存の保育園に3~5歳児の保育室を別棟で増築する計画で、“遊び場を保育室に使う”をコンセプトとしてスタートしました。遊び場に出掛けるのではなく、保育室自体を遊び空間とするものです」

そのようなコンセプトが定まったきっかけは何だったのでしょう?

「すみれチャイルドでは一貫して“人間力を育む保育”を理念としており、毎日楽しい出来事に出会うような施設づくりを望まれていました。子どもたちの体験を通して、体のもつ巧みな能力や、想像力・表現力などの豊かな感性の基礎づくりをしようというものです」

では、園舎を設計する上で、重きを置いた点は何でしょう。

「既存園舎の日照りや通風など良好な環境を確保しつつ、新園舎に求められていた広さを設けることです。道路側に車寄せを設け、そこに覆いかぶさるように傾斜した保育室を設けました」

車寄せのうえに覆いかぶさった保育室の内部空間は、保育園となる下の広場から、傾斜する丘を登り上の広場へとつながる。更に折り返して坂道を抜けると、屋上の広場に登り切るという全体構成になっているそうだ。まるでアスレチックのようになっている。

「また、安全性を保ちつつ園児の好奇心や期待感を刺激し、園のプログラムとしてのゾーン保育に対応する多様な場を設けたいと思いました。車寄せをつくったことで生まれた屋内の丘を利用して、登り、下り、掴んだり、踏ん張ったり、滑ったりなどの体を使う遊び場や、広場をつくりました」

遊ぶ園児も受け入れる保育士も知恵と体力を使うことが求められ、決して楽な施設ではない。だが園児も保育士も目を輝かせて建物を楽しみながら過ごしているそうだ。すみれチャイルドのような園舎が増えれば、子どもたちの創造性や生きる力も育まれるに違いない。

●取材協力
アトリエ慶野正司一級建築事務所
HP:http://www.at-keino.com/index.php
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