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山本 久美子
2011年8月9日 (火)

金利引き下げ幅がまもなく縮小!大人気の「フラット35S」ってどんな住宅ローン?

「フラット35S」という住宅ローンに人気が集まっている。予定していた募集金額に達する勢いで申し込みが増加したため、金利引き下げ幅拡大期間を、今年の12月30日から9月30日に前倒すことになった。大人気のフラット35Sとは、どんな住宅ローンなのだろうか?

■大人気のフラット35Sとは?
「フラット35」は、完済まで金利が変わらない住宅ローンで、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して行っているもの。このうち、省エネ性や耐震性などに優れた住宅には、当初の10年間で1%の金利の引き下げを受けられるという制度が人気の「フラット35S」(優良住宅取得支援制度)だ。
住宅金融支援機構調べによると、2011年4~6月期のフラット35の申請(買取型と保証型の合計)戸数は、前年比1.3%増の3万7591戸。政府の経済対策により、2010年2月にフラット35Sの金利の引き下げ幅を0.3%から1%に拡大して以降、前年比増が続いているという。

フラット35のニーズを牽引する「フラット35S」の人気の秘密は、なんといっても金利の低さだ。フラット35の金利は、提携している金融機関によって異なるが、8月に融資する際の金利で最も多いのは2.35%なので、この金利で考えてみよう。
銀行などから借りる場合、当初10年間の金利を固定するローン(いわゆる10年固定型)は、金利の引き下げを利用してもおおよそ2.5%前後というものが多い。フラット35は完済するまで金利が固定されるという安心感に加え、金利自体も10年固定型と同レベルの低さになっている。さらに、フラット35Sを利用できれば、当初10年間の金利は1.35%にまで引き下げられるので、銀行の変動型の金利の引き下げの多くが1.275%であることと比べても、金利上昇リスクを受けないだけでなく、低金利であるというダブルのメリットがある。
また、3000万円を借りた場合で試算すると、フラット35Sの「10年間1%引き下げ」により、フラット35とくらべて利息で308万円の削減メリットを受けられるというわけだ。

金利引き下げ幅がまもなく縮小!大人気の「フラット35S」ってどんな住宅ローン?

■フラット35Sを借りる条件とは?
では、どういった場合にフラット35Sを借りられるのだろうか?
まず、フラット35を利用する条件をクリアしなければならない。70歳未満で、返済できる年収があることなど個人の条件に加え、一戸建ての場合は70㎡以上、マンションの場合は30㎡以上といった床面積や、機構が定めた一定の基準に適合している良質な住宅というのが主な条件だ。
フラット35Sは、フラット35の基準を満たした上で、「省エネルギー性」「耐震性」「バリアフリー性」「耐久性・可変性」のいずれか1つ以上の基準を満たすという条件が加わり、その基準に適合している住宅であることを証明する「適合証明書」を検査機関に交付してもらう必要がある。
新築住宅では、フラット35Sの技術基準を満たし、適合証明書を用意しているものも多いが、中古住宅の場合は、新たに検査機関に検査を依頼するなどの手続きが必要となる場合も多い。利用したい場合は、不動産会社に事前に相談しておいたほうがよいだろう。

■金利1%引き下げの適用期限を9月末までに前倒し
フラット35Sは、当初10年間の金利が1%引き下げとなる制度へ拡充されているが、これは政府の経済対策による予算措置で、募集枠に限りがあるものとなっていた。この「フラット35S金利1%引き下げ措置」について、国土交通省は当初の想定を大きく上回る利用があったため、2011年12月30日までの申請分となっていた適用期限を9月30日までの申請分に前倒しすると発表した。これにより、2011年10月1日から2012年3月31日までの申請分については、当初10年間の金利の引き下げは受けられるが、金利引き下げ幅が0.3%に縮小されることになるので、注意してほしい。

注)フラット35Sには、「フラット35S」「フラット35S(中古タイプ)」「フラット35S(20年金利引き下げタイプ)があり、それぞれによって基準が異なる。

フラット35は、全国の都市銀行や地方銀行、信用金庫、労働金庫、モゲージバンクなど数多くの金融機関で取り扱っており、そのほとんどでフラット35Sも取り扱っている(金利や事務手数料は金融機関によって異なる)。ただし、フラット35Sの適用を受けられる住宅であることが前提ということをお忘れなく。

住宅金融支援機構 フラット35Sに関する詳細
HP:http://www.flat35.com/loan/flat35s/index.html

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