注文住宅を建てる場合や、完成前の状態で建売住宅を買う場合、どちらも契約から引き渡しまでに数カ月以上の期間が発生する。もしも、この間に建築会社が倒産したら支払った手付け金や建てている最中の家はどうなるのだろう?
東京商工リサーチの調べでは、2014年の倒産件数(負債総額1000万円以上)は前年比10.3%減で、6年連続で前年を下回った。建設業だけで見てみても、倒産件数は1965件で、前年の2421件に比べると18.83%のダウンで、こちらも6年連続で倒産件数が減少している。
とはいえ、2014年12月の建設業の倒産件数は126件。これは、サービス業の倒産件数に次ぐ多さだ。
倒産件数の減少の背景に、2014年4月の消費税増税前の駆け込み需要による受注増もあると考えれば、今後は、駆け込みの反動による受注ダウンと、消費税率10%の先送りによって2度目の駆け込み需要が鈍ること、建築資材の高騰や人件費アップなどで、楽観的でいられる建築会社は多くはないだろう。
では、万が一、契約した建築会社が倒産したら、手付金や建築中の家はどうなるのかを、整理しておきたい。
建築会社に支払った手付金が戻るのか、工事は継続されるのかについてはケースバイケースだ。
完成前の状態で建売住宅を買う場合、代金の5%超(未完成の場合)、または1000万円超の手付金は、宅建業法によって保全措置(引き渡しが終わるまで保険会社や銀行が保全している)がとられているので、契約が解除される場合は戻ってくる。しかし、手付金が少ないなどのケースでは戻ってこない場合もある。
また、注文住宅を建てる場合は、一般的にこのような保全措置がとられることはなく、建築会社が倒産した場合に手付金が戻ってこないケースが少なくない。
工事が継続されるかどうかもケースバイケースだ。
倒産には大きく分けると、「破産」などで会社の事業を清算してしまうケースと、民事再生、会社更生などで「再建」するケースがある。
破産処理された場合、事業は停止になるため、建築や売買の契約は解除されてしまう。建築を継続してくれる引き受け先を、倒産する建築会社が確保してくれれば引き渡しまで進むこともあるが、そうでなければ施主が自分で建築会社を探すことになる。なお、支払った着工金や中間金は戻らないケースが多い。
再建の場合は、契約は継続するため、引き渡しまで進む可能性が高い。ただし、買主や施主側から契約を解除する場合は、原則、手付金は放棄になることを知っておこう。
注文住宅の場合、万が一、契約した会社が倒産しても、保証会社が工事を引き継ぐ建築会社を紹介し完成をサポートしてくれる「住宅完成保証制度」というものがある。支払った金額分よりも工事が進んでいない場合でも、一定の過払金や追加工事金が保証されるため、施主はより安心して住宅を建てることができる(保証額には一定の上限がある)。
ただし、この「住宅完成保証制度」を受けるためには、建築会社が完成保証制度の登録事業者で、建築請負契約の際に住宅完成保証制度の保証を受けることを確認しておかなければならない。
現在、「住宅完成保証制度」を扱っている会社は「株式会社住宅あんしん保証」や「住宅保証機構株式会社」など数社。登録している建築会社の数もまだ多くはないため、この制度の対象になるかどうかは、事前に建築会社に確認を。各社のホームページでも登録事業者を検索できる。また、建築を依頼する会社が「住宅完成保証制度」の登録事業者ではない場合は、加入をお願いしてみるといいだろう。