インテリア産業協会が快適なキッチン空間が普及することを目指して、年に一回実施している「キッチン空間アイデアコンテスト」。応募数300作品の中から優秀作品が選出、表彰されました。学生のオモシロ・アイデアからプロのリフォーム実例まで、幅広い受賞作品の中から、「いいね!」なキッチンを紹介しましょう。
実際にリフォームした実例部門では、プロによる素敵な施工空間が集まった。中でも目を引いた「うちのうち」と題した作品。
キッチンが家の中心にある”Living Kitchen”というコンセプトは増えているが、ここまで大胆に家の真ん中に置かれたキッチンを見たのは初めて。
「子育て中の主婦はキッチンに居る時間が長いので、そこから家全体が見渡せるように考えました」と設計した國分さん。実は、自邸ということで思い切ったデザインが実現したようだ。
家のシンボル的に見せたキッチンと共に面白かったのは、玄関側の間口を狭くして奥に向かって広げることで、リビングの両脇は玄関から死角にする空間設計。
一方、アイデア部門への応募は学生の割合が80%を超え、結構オモシロいアイデアが続出。構造や配管などの施工条件や費用を無視した?!自由な発想によるキッチン空間を見てみよう。
「女子力UPキッチン」と名付け提案したのは、デザイン学校の女子学生さん。”料理しながらエクササイズできちゃう”という発想でお絵描き調だが、意外と現実的で商品化できるのでは?と思わせた。
女性にとって滞在時間の長いキッチンを、エクササイズの場にしてしまおうという発想。このキッチンにビルトインされている「ぶらさがりバー」「ステッパー」「足ツボシート」…私も欲しい!
今回は主婦用ということで美容がテーマだが、これをシニア向け健康テーマに「長寿力UPキッチン」と展開したらどうだろう。認知症予防、健康寿命に寄与できるのでは?と思ったりした。
この他、受賞作品の中で多かったのが”円形・曲線デザイン”。角が無いデザインは、より人が集まりコミュニケーションを生むイメージから提案されているようだ。
その中で、「くるくるキッチン」は円形のキッチンが回転するという機能を持たせたアイデア。車椅子の利用者が動かなくても、調理台やシンクが回ってくる仕掛け。
キッチンが屋外にあるという提案も増え、また、キッチンが住まいだけでなくオフィスや商業施設に必要と提案する作品もいくつか見られた。
インテリア産業協会会長賞を受賞したのが、「ガーデンキッチンがあるオフィス」。”オフィスを第二の家庭”と考え、キッチンでの”団らん”が良い人間関係を生むと提案したもの。
「社員食堂より快適で、外食より楽しめる」と、オフィスのキッチン空間を考えた伊藤さんは、春から社会人として働く生活をイメージしてプランニング。夢があってイイなぁ!
アイデアレベルの作品と実例作品と共に感じたのが、キッチンは人を呼ぶ場であるということ。コミュニケーション・メディアとして機能するキッチンが、屋外やオフィスにも空間をボーダーレスに展開してゆくアイデアは興味深かった。
ちなみに屋外の施設である、道の駅に設置するキッチン「道の駅ッチン」(奨励賞 渡辺雅世さん)という作品も…ネーミングに、座布団一枚♪