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ブラック企業が労基署に「政治的圧力」!? 現役監督官は「むしろ燃える」と告白

労働基準法などを盾に違法企業を取り締まる「労働基準監督署」。しかし現状ではサービス残業を放置するなど違法状態にある企業は珍しくなく、ブラック企業に苦しむ労働者からは「労基署は何をやっているのか!」という批判があがることもある。

そんな労基署について、週刊ダイヤモンド12月20日号が「労基署がやってくる!」という異色の特集を組んでいる。現役監督官も実名・顔出しで登場し、働く人にとって身近でいながら知られていなかった素顔が分かる好企画だ。

議員事務所を通じて霞ヶ関から「問い合わせ」

1216rokisho特集では上場企業237社にアンケートを実施し、2009年以降に57%の企業が「是正勧告」や「送検」を受けたと答えたことを暴露。労基署にねらわれる「5つの条件」や、ワタミが約6年の間に受けた是正勧告の概要などについても取り上げている。

中でも目を引くのは、現役監督官の「覆面座談会」だ。監督官を描いたマンガ「ダンダリン一〇一」の原作者・田島隆氏が司会となり、4人の現役監督官が質問に答えている。

驚くことに監督官の調査中、送検を逃れようとするブラック企業が議員事務所に駆け込むケースもあるようだ。国会議員が「霞ヶ関」(厚生労働省)に問い合わせをすると、官僚が捜査状況を現場の監督署に問い合わせてくる。

明確に「手心を加えろ」という直接的な言葉があるわけではないが、心理的な圧力になりうる場面だ。こんなとき監督官はどう動くのか。50代のベテラン監督官のB氏は、このように答えている。

「私の場合、しっかり捜査して、きっちり送検しました。だらだら時間をかけて邪魔される隙を与えないよう、さっさと証拠を押さえてやろうと頑張っちゃう」

同じく50代のA氏も「私もむしろ燃えます」。頼もしい限りだが、現実には事案を「山のように抱えているので」、どの捜査にこだわるかは、監督官個人の判断で違ってくるのだそうだ。A氏はまた「監督官の頭数が絶対数として足りない」と嘆く。

助言を得ながら「自分でやる」方が解決が早いことも

人手不足を補うために、労基署の人員増強も望まれるところだが、40代のC氏は「労働者には自分でやれることはやってほしい」と意外な要望を出している。

あるときC氏は、会社から「さぼり」の濡れ衣を着せられ賃金を払ってもらえないと悩む相談者に、「使用者に誤解があるなら一度自分で説明に言ってはどうか」といろいろアドバイスした。最初は怖がっていた相談者も、最終的には自力で給料を受け取ることができたとか。

田島氏も20代のころに誤解に基づく解雇をされ、監督官に泣きついたところ、「捜査は何か月もかかるかもしれないから、自分でやってみては」と言われたという。助言どおり労基署に相談したことにも触れた内容証明書を会社に送ったところ、社長は白旗を揚げた。

労基署は司法警察員として、逮捕も送検もできる強力な権限を持つ。それだけに、捜査は慎重に行われなければならず、時間も掛かってしまう。労基署の助言を得つつ、労働者自身が知識を得て会社と交渉するという道もありそうだ。田島氏も、上記の件をきっかけに「法律は武器になる」と考え、行政書士の資格を取ったという。

あわせてよみたい:共産党の躍進にネット興奮「ブラック企業を排除してくれ!」

 

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