かつては毎日のように新聞紙面を飾っていた「三行広告」だが、最近は全国紙での掲載は日曜日と月曜日に限られている。しかし、広告代理店で三行広告を扱う現役の営業マンはいう。
「三行広告に代表される“1行××円”という広告は新聞の歴史と同じくらい古い。減ったとはいえ、今でも存在するのは、ネットを見ない世代への求人としてやはり効果があるから。広告主は媒体選びにもこだわりがある」
同じように見える各紙の三行広告だが、広告主のタイプは新聞によって少しずつ異なる。例えば全国紙の中でも、朝日新聞と読売新聞にはこんな違いがある。
「ホワイトの朝日、ブルーの読売と長くいわれてきた。朝日はデスクワーク、読売は肉体労働の求人広告を出すと反応がいいとお客様が感じているようです」(同前)
朝日新聞に「記者募集」の広告を出す業界紙の人事担当者が語る。
「朝日の読者はインテリで本や雑誌など活字に興味がある人が多いという印象があります。記者職を募集しているので、『朝日を読む』という方とマッチングする。我が社では『新聞広告を出す時は朝日』と引き継がれている」
反対に読売新聞に「作業員募集」の広告を出している建設会社の人事担当者がいう。
「できるだけ多くの方を集めたいので部数の多い読売に出し続けている。朝日に出した際は反応が良くなかったので今は読売だけです」
スポーツ紙にもそうした色分けがある。日刊スポーツ広告局の小野寺淳氏の話。
「スポーツ報知さんは飲食系の広告が強い。報知は読売グループですからジャイアンツのニュースに詳しい。巨人ファンは全国にいるので、各地の飲食店が置くといわれる。弊紙は配達を朝日新聞の販売店に委託していることもあって、新聞販売店の求人広告が多い」
過激な広告が増えるのが夕刊紙。
「夕刊紙は風俗広告が多いのが特徴です。ですが日刊ゲンダイは2011年に違法風俗店の広告を載せたとして家宅捜索を受けて以降は控えめな気がします」(前出・代理店関係者)
各紙で記事の論調が異なるように、広告にも違いがあるようだ。
※週刊ポスト2015年11月13日号