「特定空き家」は、具体的な判断基準や処分の方法について国土交通省がガイドラインを設け、それをもとに各自治体が条例で定める。自治体はこれをもとに新たに条例を設定したり、以前からある条例を見直したりして、2015年4月時点では全国の430の自治体で「空き家等の適正管理に関する条例」が制定・施行されている。
10月26日に横須賀市が所有者不明の老朽化した空き家の取り壊しを行政代執行するという報道は記憶に新しいだろう。全国初となる。
●「特定空き家」に指定されるまでの流れ
(1) 近隣住民などからの苦情をもとに、1年間電気・ガス・水道が使用されていない空き家は、自治体が所有者を調べ、立ち入り検査ができる
(2) 立ち入り調査の結果、倒壊の危険がある、衛生上、防犯上の問題がある、周辺の景観を著しく損ない、放置しておくのは不適格と判断されると「特定空き家」に認定される
(3) 所有者に対し適切な修繕の上での管理、または解体などの助言や指導を行う
マイホームを持っていると毎年かかる固定資産税と都市計画税。土地と建物それぞれにかかるが、建物が建っている土地には軽減措置があり税金が軽減される。
ところが、特定空き家に指定されるとその軽減がなくなる。
下図で見てみよう。
建物がある土地の場合、200m2までは固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に軽減される。しかし、特定空き家になると更地扱いになり、上記の軽減措置がなくなり、固定資産税、都市計画税ともに課税標準額の70%が課税される。
これに、別途建物の分の固定資産税と都市計画税が上乗せされる。
しかし、自主的に更地にすれば、建物分の税金はなくなるので負担は多少違う。
将来、親が住み替えたり亡くなった場合、実家が空き家になりそうなら、家族で対策を話しあっておくのが重要だ。
ちなみに、人が住まなくなった空き家は、夏場なら1カ月で雑草が生い茂る、建物も数カ月で劣化が進むことがある。
最低でも「特定空き家」にだけはならないよう、しっかり管理していくことが必要になるだろう。
ライター インタープレス・光田洋子