セ・リーグのペナントレースの最前線にいる阪神タイガース。好調の要因は開幕前、評論家から「捕手を9人も登録して意味不明」とコキおろされたチーム編成が、意外にも功を奏していることだという。
ここまでの33試合(5月5日現在)で先発した捕手は藤井彰人が15試合、鶴岡一成13試合、ルーキーの梅野隆太郎3試合、清水誉が2試合という配分になっている。
「和田豊監督は基本的に藤井を使い、鶴岡など他の捕手がスタメンで出場した試合で、福原忍や呉昇桓などの抑えが登板すると、藤井を途中出場させる采配を振るっています。捕手が日替わりで出てくることに、他球団のスコアラーたちは“どうにも配球が読めない”と悲鳴を上げているようです」(阪神担当記者)
阪神のロースターには、他に日高剛、岡崎太一、小宮山慎二、小豆畑眞也に内野手兼用で今成亮太が登録されている。捕手9人というのは12球団最多で、阪神はさらにもう1人、原口文仁という育成選手を抱えている。和田阪神の確信犯的攪乱戦法なのかどうかはともかく、評論家でなくても、この捕手偏重の戦力の意図は不明。ただ、チームを上位に踏みとどまらせる後押しのひとつにはなっているらしい。
だが、ここに来て暫定正捕手ともいうべき藤井が、4月25日の横浜戦で足を痛め戦線を離脱した。これが今後どう響くのか。阪神の戦いぶりに変化があるのかどうかを含めて、予断を許さないところだ。
※週刊ポスト2014年5月23日号