オタクがリア充とコミュニケーションをとるには?【オタク社会人ノススメ】

 こんにちは、中年オタク社会人の富士野一徳です。

 「リア充」。我々オタクはこの言葉に本能的な忌避感を抱いてしまう生き物です。イケメンで女子社員と屈託なく話せる彼。スポーツマンで服のセンスも抜群の彼。飲み会を盛り上げ、参加者を笑顔にするのが上手い彼。

 あなたが大きな向日葵ならば、私ゃ外山の日陰のわらび。なんとなく、永遠に交わらない道を歩く者同士のような気になってしまいますが、実際にはもちろん、彼らだって我々と同じ人間です。そんな「リア充」な人達と会話するための心構えのようなものを、今回は考えてみましょう。

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あなたの隣のリア充さん

 あなたにリア充の同僚、先輩、後輩がいるとすれば、何よりも最初に肝に銘じるべきことはただ一つ。

「あなたと彼(彼女)はだいたい同レベルの人間である」

 これです。

 あなたと彼は同じ会社の、同じ部署にいる。つまり似たような試験を通り、似たような評価を受けてここにいるはずなので、つまり「周囲から見た評価のアベレージは大体同じくらい」ということです。年齢が大きく違ったり、よほどの成果主義が導入されていたりする場合を除いて、年収や生活レベルだってそう変わらないはず。

 知的レベルもまた同様。あなたに理解できることは彼にも大概理解できるし、逆もまた然りです。もちろん趣味が違うのだから、知っていること・知らないことがお互い違うのは当然ですが、「わかり合えない」などということは決してありません。

 変に卑屈になるのも、「どうせあいつらにはわかりっこない」などと自ら拒絶するのもやめましょう。すべてはそこからです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

リア充は見抜く

「富士野さんってこういうこと詳しそうだなって思ってたんですよ」

 かなり前のこと、ある年の新人歓迎会で、昔の漫画にまつわる話題が出た時、ついポロリとオタ知識を披露してしまった私に、後輩(見た目はチャラい)が言った言葉です。

 私はその後輩とはそれまで片手で数えるほどしか口をきいていなかったし、趣味についての話など一度もしたことはない。そもそも当時は、同僚へのオタカミングアウトもしていなかった。にもかかわらず、あっさりと見抜かれていたことに戦慄したものです。

ちなみに私がどう答えたかというと、

「いや別に……そんなこともないと思うよ……よく知らないし……」

 逃げました。

 しかし、そんなその場限りのごまかしが長続きするはずもなく、その後も何度か虚しい取り繕いを続けた後、私はオタカミングアウトをするに至ったのです。

 彼らリア充という人種は、対人コミュニケーション能力にかけては我々と比較にならないレベルに位置しています。たとえ隠しているつもりでも、あなたがオタクであることは、まず間違いなくバレています。バレバレの嘘をつき続けることほどみっともないことは、世の中にそうはありません。

「オタクであることを隠しても無駄だし、むしろ隠そうとすると余計無様なことになる」

貴重な教訓を、私はチャラい後輩から得たのでした。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

リア充は面白いことが好き

「こないだ勧めてもらったアニメ、観たけど面白かったです。さすが富士野さん、やりますね」

 また別の後輩(テニス部出身)にアニメ『ガールズ&パンツァー』を勧めて一月ほどたったある日かけられた台詞。昼休みとはいえ社内で年上の先輩に「やりますね」とは何だと思いましたが、それはそれ。好きなアニメを誉められれば素直に嬉しいものだし、それ以上によもや単なる話の接ぎ穂のつもりで勧めたアニメを、彼が本当に観るとは正直思っていませんでした。

 リア充は「面白いこと」に貪欲です。その貪欲さは、意外とジャンルを選びません。面白いアニメや漫画を面白そうに説明することさえできれば、彼らはけっこう乗ってきます。

 逆に言うと、自分が面白いと思っている作品を語ってみて、食いつきが悪ければそれはあなたが面白さを上手く伝えられていない可能性があります。そうしたオタトークの練習台になってもらってもいいでしょう。なーに、どうせ相手は住む世界の違う、もともと親しくもなかったリア充。失敗して疎遠になったって、大して失うものはありません。

リア充は意外に鋭い

 私の趣味の一つは、ロボットのオモチャを集めることです。トランスフォーマー、Robot魂、スーパーロボット超合金、ガンプラ……種類は違えど欲しい物は常にいくらでもあり、厳選して買っているつもりでも際限なく増えていきます。同じロボットでも違うメーカーから出ているものを複数買いしたり、そのロボットや作品自体に興味がなくても「オモチャの出来がいいから」という理由で買ってしまったりすることも珍しくありません。それは単に「コレクター気質」という言葉でシンプルに説明できるものだと思っていました。

「いくら買っても満足しないのって、結局オモチャじゃ手に入らないものを求めているからじゃないですか? 自動車でも買ったら気分変わるんじゃ?」

 前項の後輩に、「いやー俺ってコレクターでさー」とドヤ顔でオタトークをかましていた時、何気なく言われた一言。

 いや、これは刺さりました。今まで自分の趣味をそんな角度から眺めたことはなかった。なるほど、オモチャではない「本物のメカニズム」を手にしたら、ロボット玩具に対する見方は少し変わるかもしれない。

 リア充と我々はものの考え方がまるで違います。彼らの意見は、時に思いもよらない刺激を与えてくれることがあります。別段上の私のような暴露オタトークをせずとも、お気に入りの漫画でも彼らに貸してみれば、驚くような新鮮な感想が聞けるかもしれません。

 ……いやまあ結局のところロボット玩具集めは続けてるし、車も別に買ってないですけどね。

リア充はそこまで充実してない

 ここまでずっと「リア充」という言葉を使ってきましたが、じゃあ彼らの人生がずっと充実しっぱなしで、毎日楽しくてたまらないかといえば、当然そんなはずはない。これまでにも紆余曲折あっただろうし、彼らだって彼らの生き方なりの、不満や悩みやうまくいかないことを抱えていて当たり前です。

 だいたい人間、幸せよりは不幸の方が共感しやすいものです。あなたがうんざりしている月一のあの会議は、彼も嫌がっているかもしれない。あなたが苦手なあの取引先は、彼も苦手かもしれない。そういうところを探してみると、意外と腹を割って話し合えたりするものです。

 別に彼らと親友になる必要はない。ただ、たまに話してみると、楽しいものですよ。

富士野一徳

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中小企業勤務の40代会社員。

独身。

好きなダブルオーライザーはメタルビルドの。

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