天然ガス試掘調査へ 合同資源・祭温 西原、ヨウ素は民間県内初


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県内企業や行政の担当者らを前に水溶性天然ガスの試掘調査について発表する合同資源や祭温の関係者ら=15日、那覇市の沖縄総合事務局

 資源・化学メーカーの合同資源(東京、舘良男社長)とエネルギーコンサルタントの祭温(那覇市、大見謝恒慈路社長)は15日、水溶性天然ガスに含まれるヨウ素の採取に向けた試掘調査を西原町の工業地帯の2カ所で始めると発表した。県内で民間業者によるヨウ素の試掘調査は初めて。同地域には天然ガスの埋蔵が期待されており、試掘で存在が確認されれば、ヨウ素を使った製品開発や天然ガス発電といった事業化の可能性を産学官連携で探っていく。

 水溶性天然ガスは地層中の地下水に溶解して存在する天然ガスで、通常は500~2千メートル程度の地層から採取できる。天然ガスを分離後の水にはヨウ素も含まれる。ヨウ素はうがい薬や消毒薬など医療分野のほか、液晶テレビの偏光フィルムの素材などに利用されるなどさまざまな製品の素材として利用が可能で、新たな産業の確立が期待されている。

 15日に那覇第2地方合同庁舎で開かれた会見には、両社のほか沖縄総合事務局、県、西原町の関係者も同席した。合同資源の舘社長は「われわれは全国で天然ガスの生産と販売をしている。これまで培った経験やノウハウを生かして、沖縄のエネルギー自給率の向上に努めたい」と述べた。

 沖縄総合事務局の牧野守邦経済産業部長は「天然ガスとヨウ素は沖縄にとって大事な地域資源で、製品開発などの事業化に向けて産学官の連携を深めていきたい」と述べた。今後、行政や県内企業を巻き込んだ検討会や研究会の組織化を見据えている。

 合同資源と祭温は年度内に掘削を終える見込みで、来年4月以降に潜在的な総量や成分の分析、生産試験に着手し、2019年3月には調査を完了する。試掘調査の場所は当面は2地点のみだが、将来的には少なくとも50地点程度にまで調査箇所を拡大することを予定している。

 国内の天然ガスの主な生産地は千葉県と新潟県。一方、沖縄でも県が14年度までに実施した試掘調査で宮古島市城辺、那覇市奥武山、南城市大里の3カ所で水溶性天然ガスとヨウ素が検出された。今回試掘が行われる西原町は、那覇市泊や大道、首里の南側、南風原町新川、与那原を横断する「首里断層」の上に位置しており、首里断層以北での掘削調査は初めて。