文科省、再訂正に慎重 帝国書院の教科書誤記問題 「完全に間違いでない」


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 【東京】2017年度から使用される高校教科書の検定結果を巡り、帝国書院「新現代社会」のコラムに沖縄経済について事実誤認の記述があった問題で、「9・29県民大会決議を実現させる会」などは22日、文部科学省の担当者と衆院議員会館内で会い、帝国書院側に再訂正申請を促すよう求めた。文科省は「記述が完全に間違いという判断に至らなかった」などと述べ、慎重姿勢を示した。

 帝国書院「新現代社会」のコラムは一度は訂正がなされたが、その後も沖縄の特殊事情の一つとして「アメリカ軍施設が沖縄県に集中していること」を挙げ「毎年3千億円の振興資金を沖縄県に支出し、公共事業などを実施している」などと記載している。
 実現させる会は沖縄振興予算を「振興資金」と記述していることを巡り「米軍基地が集中していることで、予算とは別枠の資金が沖縄に支払われていると誤解されかねない」と指摘。検定意見を付けた文科省の責任を追及した。
 文科省の担当者は、2012年の「沖縄振興基本方針」を挙げ、「帝国書院は基本方針に書かれているものをそのまま書いているのではないか」と述べた。その上で「振興資金」という表現には、予算と別枠に計上されているという明確な記述がないことから「記述自体が、完全に間違いだという判断にはなかなか至らなかった」などと説明した。
 要請に同席した高嶋伸欣琉大名誉教授は「誤解を生じないような記述に工夫するべきだという意見は付いて当然だ。検定に恣意(しい)的な部分が影響しているのではないか」と批判した。