いま、「ローパー社員」が論争の的だ。ローパー社員とは、「ローパフォーマー社員」の略。働かないダメ社員のことだ。なかには、わざと仕事をサボり素行不良で解雇されるように仕向け、企業から和解金をぶんどる「当たり屋ローパー」までいる。このように目立つタイプならまだしも、「真面目」なローパーは対応が難しい。
大手製造業の50代部長が表情を曇らせる。
「遅刻や欠勤もなく、見た目は真面目に働いているけど、実績が伸びないローパーが実は一番困る。出世コースを外れ、会社に所属するだけで給料をもらうフリーライダー(タダ乗り)と呼ばれる連中です。どの部署でも仕事をこなす同僚のおこぼれで食いつなぐので、『あいつと俺がなんで同じ給料なんだ』と周囲の不満が高まる。
オフィスにいるだけの“エア社員”なのに、明確な職務怠慢があるわけじゃないのでペナルティを科すこともできない。コストだけはかかるから会社としても本当に困る」
こうしたローパー社員は「老害」だ、と訴えるのは、40代の中堅商社マンだ。
「クビにもされず役職なしで生き延びたダメな社員は50歳を超えると、勤務中に時間をどう潰すかに専念する。1日の半分以上を席に座って過ごし、メールのやりとりですむ打ち合わせなのに先方まで出かけて2時間も面談しているんです」
額に汗して働く社員の心をザワつかせるローパー社員たち。最大の問題は職場の「士気」を下げることだ。50代の中堅商社の営業統括部長は「ローパーは腐ったミカンだ」と言い切る。
「ウチの営業は1課から4課まであるが、全体で最低の営業成績の社員がいる課は業績がどんどん落ちていく。下の人間がいることで、『アイツがいるから大丈夫』と他の社員が安心して努力を怠り、課全体のパフォーマンスが下がるんです」
※週刊ポスト2016年3月11日号