ライフ

広島の話題の塾 鑑別所入ったことある生徒が法科院合格の例

「フジゼミ」塾長の藤岡克義さん

 中学で非行少年に、高校は2度退学…19歳で一念発起し、「This is a pen.」から勉強して20歳で大学に進学――広島県福山市にある塾「フジゼミ」塾長の藤岡克義さん(40才)は、そんな経験を塾生たちに語りながら、「人生、回り道してもマイナスじゃない」と説いている。藤岡さんは、著書『「つまずき 寄り道 回り道」小さな塾「フジゼミ」塾長と生徒たちの昨日、今日、明日』でも、「“普通の子”にならなくてもいい」などのメッセージを投げかけ、話題を集めている。同書の中から、一度は鑑別所に入りながら、今は弁護士を目指しているある元塾生のエピソードを引用して紹介する。

 * * *
 たしかに、遠回りをしたからといって何をやってもいいわけではないし、法に触れる経験が必要だとも言えないし、それが財産になるとは言い切れません。一方で、ないとも言い切れないのです。

 だいぶ昔、フジゼミに通っていた生徒に、「弁護士を目指す」という男の子がいました。彼は高校中退で、鑑別所に入った経験もあります。その鑑別所で出会った弁護士の先生を尊敬して、弁護士を目指すようになりました。

 定時制の高校に通い直しながらフジゼミにも通い、司法試験に強い中央大学法学部を目指して1年間猛勉強しましたが、合格したのは國學院大學と東洋大学、そして法政大学(補欠)でした。もう1年頑張るという選択肢もありましたが、彼は國學院大學に進みました。

「不合格はショックだったけど、この1年間、自分は猛烈に勉強した。これ以上のことはできないというくらい勉強した。だから自信を持って大学に行きます。中央大学は、法科大学院を受験してリベンジしますよ」

 とびきりの笑顔でそう言って入学した彼は、大学に進学してからも黙々と勉強を続け、中央大学法科大学院だけではなく、明治大学法科大学院、上智大学法科大学院にも合格しました。

 彼が鑑別所に入ったとき、まさかこんな未来が待っていると予想した人はおそらく誰もいないと思います。彼自身もきっと想像していなかったでしょう。  
でも間違いないのは、もし彼が鑑別所に入らなければ、弁護士の先生に出会わなければ、いまにはつながっていないということです。だからやっぱりぼくは、何をしてもいいわけではないけれど、どんな経験も財産になり得るんだと思ってしまうのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン