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ペットと一緒に快適に暮らす
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嘉屋 恭子
2015年11月30日 (月)

捨て猫を拾ったけどわが家は賃貸……どうすればいい?

賃貸住まいだけど、猫ひろってしまった! どうしたらいい?
写真撮影:嘉屋恭子
ある日、道を歩いていると、草むらから「にゃー」という声が。しばらくあたりを見まわしても、親猫やきょうだい猫もいないし、飼われているようすでもない。弱っていく声にたまりかねてとうとう子猫を拾ってしまった……、なんてことはないだろうか。しかし、住まいが賃貸でしかもペット不可だとしたら、どうすればいいのか。その対処法を取材してきた。

ペット不可物件でも動物を助けることは可能!

「そんなに野良猫を拾うことあります?」と編集部から言われてしまったが、筆者は2〜3年に一度、子猫を拾ってしまうし、ネットのサイトでも「猫を拾った」という話がよくまとめられている。猫を拾ったあとの医療の対応は別サイトに譲るとして、ここでは人間の住まいをどうしたらいいのか、という点に絞って話を進めよう。

そもそも、賃貸はペット可が少なく、なかでも猫可という物件はごくごく少数。そのため、猫を拾ったとしても、そのまま飼育できるという人はほとんどいないはず。では、こうした飼育不可の物件に住んでいるのに、猫を拾ってしまったらどうしたらいいのだろうか。猫付きマンションなどを世に送りだし、あまたの猫に関する相談事を受け付けてきた、東京キャットガーディアンの山本葉子さんに話を聞いた。

「私どもでは猫に関する相談全般を受け付けている、ねこねこ110番を運営していますが、住まいがペット不可なのに猫を拾ってしまった、どうしましょう、というのはよくある相談ごとのひとつです」という。

その際のアドバイスとしては、
「たとえ住んでいる物件が、ペット不可であっても、動物を一時保護することは不可能ではありません。契約上の禁止事項に抵触すると思いますが、家賃の滞納以外での強制退去はほぼ無いので、開き直ってはいけないですが、大家さんや管理会社に“お願い”する方法で、時間と場所をかせいで助けてあげてほしい」という話をするという。

さらに続けて、「現在の借地借家法で、部屋を借りている人の権利は、かなり強力に守られています。大家さんが部屋の明け渡しを要求できるのは、借りている人が、家賃を3カ月以上滞納してから。相談してきた人には、まずは家賃を滞納しないことと、その間に落ち着いて里親を探すのか、自分で飼育するのかきちんと方針を考えよう、と伝えています」と山本さん。

【画像1】捨て猫だった筆者宅の猫。拾った当時は猫飼育可の賃貸住宅住まいだったので、筆者の場合は、そのまま飼育した。もうすぐ高齢猫の仲間入り(写真撮影:嘉屋恭子)

【画像1】捨て猫だった筆者宅の猫。拾った当時は猫飼育可の賃貸住宅住まいだったので、筆者の場合は、そのまま飼育した。もうすぐ高齢猫の仲間入り(写真撮影:嘉屋恭子)

交渉次第では、猫飼育可になることもある?

ただ、すぐに退去にならないとはいえ、その家で猫を飼い続けるというのは、あきらかなルール違反。大家さんや不動産会社に相談のうえ、ある一定の期間で対応するのが、マナーというもの。対応方法は、(1)大家・不動産管理会社と交渉する、(2)猫の里親を探す、(3)猫飼育可の物件に引越す、の3つだ。

まず行いたいのが、大家さん、不動産管理会社との相談・交渉だ。意外なことに、ここで条件付き(猫1頭に限るなど)で飼育可能になることもあるのだという。

「実際にヒアリングしていると、不動産を所有している大家の中にも、ペット飼育に前向きな人もいるんですよ」と山本さん。近年は、猫のトイレ用品や爪とぎなどを用意し、去勢避妊手術を行えば、ニオイや泣き声が問題にならないことが知られはじめているという。管理会社の人のなかにも、「バレなければOK」というスタンスの人もいるが、どちらにしてもレアケース。飼育交渉が成功するのは、100件あったら1〜2件程度だという。

では、交渉がうまくはいかない場合はどうするのか。次に検討するのが、育ててくれる里親探しだ。「ネットが使えれば、猫を飼いたい人を探す、里親探しをするのは難しいことではありません。巨大な里親探しサイトもあります。引き取った猫を虐待する詐欺が怖いというのであれば、誓約書をつけてもいいでしょう。近くにボランティア団体があれば、協力してもらうこともできると思います」と山本さん。

ただ、拾った猫に愛着が湧いてしまえば、別れたくなくなってしまうもの。そうなると、猫飼育可物件に引越すというのが最後の手になる。ただ、猫飼育可能な物件は、敷金を多く必要とする(3カ月など)ところもあるので、初期費用がある程度必要になる。ある不動産管理会社は、「築年が経過した物件でも、なかなか猫飼育OKにはならない」と事情をあかしてくれた。無論、猫がいればほかにもエサ代も医療費もかかる。経済的な負担も考えて、責任をもって決断してほしい。

【画像2】猫の寿命は平均13〜15年。長ければ20年近く生きることも。最期の一瞬まで責任を持って寄り添いたい(写真撮影:嘉屋恭子)

【画像2】猫の寿命は平均13〜15年。長ければ20年近く生きることも。最期の一瞬まで責任を持って寄り添いたい(写真撮影:嘉屋恭子)

●取材協力
山本葉子さん/猫カフェ型の開放型シェルターの運営を行う特定非営利活動法人(NPO法人)東京キャットガーディアン代表。2015年11月17日には『猫を助ける仕事~保護猫カフェ、猫付きシェアハウス(山本葉子・松村徹共著)』を上梓
https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2022/11/cats.jpg
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