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非嫡出子の相続格差 最高裁が違憲判断?

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非嫡出子相続格差は憲法違反か?最高裁大法廷、口頭弁論開く

非嫡出子の相続格差 最高裁が違憲判断も?

7月10日、結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子(婚外子)の遺産相続分を嫡出子の半分とした民法の規定が、「法の下の平等」を保障する憲法に違反するかどうかが争われた家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は当事者の意見を聞く口頭弁論を開きました。婚外子側は「規定は憲法違反で、直ちに司法の救済が必要だ」と訴えました。

嫡出子の推定を受けるには?

民法上、嫡出子の推定を受けるのは、「妻が婚姻中に懐胎した子」(民法772条)だけですが、結婚前に懐胎した場合であっても、嫡出子と認められます(これを「推定されない嫡出子」といいます)。嫡出子となるもうひとつのパターンが「準正」という制度です(民法789条)。準正とは、「父親が子を認知した後に両親が結婚する場合」または「両親が結婚した後に父母が認知する場合」をいいます。

母親については、分娩の事実だけで認知をしなくても母子関係が成立すると考えられていますので、「両親の結婚」と「父親の認知」の両方がそろった場合を「準正」といい、その子は嫡出子の身分を取得します。

現在の民法では、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1に

嫡出子と非嫡出子の実体法上の最大の違いは、法定相続分が異なるということで(民法900条4号)、非嫡出子の相続分は、嫡出子の2分の1になります。「嫡出子と非嫡出子で相続分に差があるのは、差別だ」として、昔からその規定の合憲性(平等原則を定める憲法14条違反)が争われてきました。

しかし、最高裁判所は、法律婚を尊重するためのもので不合理な差別ではなく、民法の規定は合憲だと判断してきました。

大法廷での口頭弁論によって「違憲判断」の可能性が高まる

今回も、一審と二審では、過去の最高裁判例と同様、合憲と判断しましたが、最高裁判所まで行きつき、大法廷で口頭弁論が開かれることとなりました。

最高裁判所には、「大法廷」と「小法廷」があり、大法廷は特に重要な判断をする審理を取り扱い、違憲判決や判例変更をすることができます。また、最高裁判所は、理由がないとみれば、口頭弁論を開くことなく特別抗告を棄却することができますが、原審の判断を覆すような場合に口頭弁論を開きます。

したがって、最高裁判所は「今回は判例を変更し、民法の規定は違憲だとして東京高裁の決定を破棄する」という可能性が出てきたと推定されます。

違憲判決が出れば、民法改正という話になり、国民の生活にも大変な影響があります。さて、どのような判断が下されるのでしょうか?司法判断は今秋にも示される見通しです。

山口里美

相続で人の心と未来をつなぐサービスマインドの行政書士

行政書士

山口里美さん(行政書士法人みらいリレーション)

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