NYミシュランシェフ考案の「廃棄食材」を使った料理。みんなで作って美味しく食べて

2016年5月10日、NYのユニオン・スクエア・パークで開催されたとあるフードイベントで、5,000食のランチが無料で振る舞われたそうです。調理を指揮したのは、今年ミシュランガイドで星を獲得した「Blue Hill」の人気シェフ、ダン・バーバー氏。メニューはラタトゥイユに野菜たっぷりのキッシュなど。さらにデザートには、バーバー氏お手製のアーモンドクッキー。

思わずお腹が鳴りだしそうなこのメニュー。では、その食材がすべて生ゴミから作られていると聞いたらどうでしょう?

食品廃棄に待った!
ミシュランシェフが生ゴミで料理

料理人ダン・バーバー。この名前にピンと来た人も多いはず。彼は昨年9月同じくNYで開催された国連会議の昼食会において、本来なら廃棄処分されるはずだった材料のみを使った料理を、各国首脳に振る舞ったことで一躍話題になった人物。

そう、今回のランチもやはり、すべて廃棄寸前の食材を使ったもの。たとえばゴミ箱行きのニンジン、リンゴ、セロリ、洋なし……。カタチのいびつな野菜、熟しすぎた果実、料理には使わないへたや葉。クッキーには、アーモンドオイル搾油後のカスを使用する徹底ぶりです。

バーバー氏のこのアクションに賛同した地元の料理人、さらにはボランティアスタッフが加わり、5,000食のランチを調理。プロの料理人から直接、ムダにしない食材の活かし方や、レシピの伝授もあったと「Co.Exist」の記事は伝えています。

「もったいない」を
プロの味で伝える

このフードフェスティバルを主催したのは、イギリスのNPO団体「Feedback」です。2009年の創設以来、パリやアムステルダムを中心にこれまで、ヨーロッパ各国でのべ5,000回以上にわたって、消費期限切れの食材を使ったフードイベントを実施してきました。同団体は、「今その活動の場が世界的に広がりつつある」と人々の食品ロス削減への関心の高さを実感しているそう。

食品ロス削減に向けた市民レベルでの意識改革を。その背景には、いくらスーパーマーケットやレストランに食品廃棄に対する規制をかけても、その大部分はやはり一般の家庭ゴミ。市井の人々の意識改革こそ、大きな意味で食品ロス削減に必要なアクションということは、火を見るよりも明らかですよね。

捨ててしまうよりも活かす方法を考え、伝えることがこのイベントの趣旨。スターシェフ起用も、こうした人々のアクションを期待してのものでしょう。

「料理を通して、食べる楽しさや快楽を享受することで、人々の意識や習慣を変えていこうっていうのは、素晴らしいアイデアだと思う。

食品廃棄を避けるためには、料理を残さずに食べるだけでもいい。ガラッと日常を変えなくたって、もっとシンプルに料理を楽しめばいいんだよ

こう表現するバーバー氏の熱意を、この日ボランティアとして参加した人も、その料理を口にした人もきっと感じたに違いありません。たとえ、廃棄寸前の食材であっても美味しくなる。やっぱり、何にも勝る説得力は「美味しさ」でしょうから。

Reference:Co.Exist
Licensed material used with permission by Feedback(Facebook), (Instagram)
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。