まずは定年を見据えて、住まいをどうしたかを聞いてみました。結果は、「何も変えていない」58.3%がトップでしたが、次に多かったのは「住んでいた家をリフォームした」28.3%というもの。コメントでは、「バリアフリー」「オール電化」という言葉が多く見られました。家の老朽化を修繕するとともに、体の衰えを見据えて、より快適な住まいにリフォームする人が多いんですね。リフォームをした場所としては、キッチン、お風呂、トイレ、洗面所などの水まわりを挙げる人が目立ちました。また、「ドアを全て引き戸に替えた」など、バリアフリー対応のリフォームをする人も。
大きく票は離されましたが、次は「家を買い替えた」3.3%。こちらは、「親の面倒をみる」ためだったり、「駅近に購入」したり、リフォームではなく「バリアフリーのマンションにした」という人たち。「子どもが独立して夫婦2人になったから、2人の生活に合う家に買い替えた」という人もいました。
では、「これから」の住まいの形態については、どう考えているのでしょうか。結果は、「特に考えていない(特に変える必要はない)」69.3%を筆頭に、「今住んでいる家をリフォームしたい」が19.3%と続きます。
既にリフォームしている人の多くは「特に考えていない(特に変える必要はない)」に票を入れていると仮定すると、多くがリフォームに対して前向きな考えをもっていることが分かります。今の家は住み慣れているし、お金もないので住み替えは考えていないけれど、「内装が経年劣化したから」「水まわりが劣化してきているから」「バリアフリーにしたい」など、リフォームの場所はさまざまですが、それぞれ老後にも使いやすい設備を検討しているようです。また、「一戸建てを建て替えたい(一戸建てから一戸建て)」3.0%というのも、「今住んでいる場所」での変更。こちらも住み慣れていることや、お金の問題があるのかもしれません。
次に、「家を買い替えたい(戸建てからマンション)」2.7%が続きます。「一戸建ては庭の手入れなど季節ごとに手がかかるほか、防犯面でも心配。また、一戸建て住宅は冬に部屋が寒くて過ごすのが大変」というように、防犯面や生活の便利さを求めてマンション生活を希望する人がいるようです。
ちなみに老人ホームに入居したい人は1.7%程度。また、「特に考えていない(特に変える必要はない)」人の理由は、「お金がないから」などの経済的な理由から、もしくは「今の家で満足している」人が多かったです。
ではこれからの住まいのエリアについてはどうでしょうか。居住タイプのグラフでも「今住んでいる場所」へのこだわりが出ていましたが、エリアに関しても「今住んでいるまちに引き続き住みたい」が61.7%で圧倒的でした。「特に考えていない(特に変える必要はない)」と合わせると9割を超えます。「住み慣れた土地を離れたくない」「現状で満足している」「ご近所との関係がうまくいっている」といった意見が多かったですが、「住み替える費用がない」という経済的理由を挙げる人もちらほら。
次に続くのは「国内で移住したい」3.3%、「子どもが住んでいるまちに同居もしくは近くに引越したい」2.3%。老後は子どもと近くにいたい人が多いのかと思いましたが、現実は違うようで、自由気ままな国内移住のほうがわずかに上まわる結果となりました。
最後に、「『終の棲家(ついのすみか)』について、今どんなことを考えていますか?」という質問をしてみました。
みなさんの回答はこちら。
<男性>
・リフォームも完了したので、今後も住み続けたい(65歳・男性)
・住み慣れた街、家がいい(62歳・男性)
・今住んでいる場所に友人やサークル仲間がいるので、今の場所以外は考えられない(64歳・男性)
・生まれ育った街に帰ってもよいかなと思う(66歳・男性)
・近くに娘夫婦や孫がいて、会いたいときに、すぐ顔を見ることができる場所で暮らしたい。どちらかが介護が必要になったときも何かと心強いから(70歳・男性)
・子ども夫婦と同居(74歳・男性)
・人間、終生元気なわけではありません。いずれは病院か老人ホームで一生を終わりたい(76歳・男性)
<女性>
・有料老人ホームでお世話になりたい(69歳・女性)
・自分のことができなくなったら、子どもの家の近くの有料老人ホームに移る予定(67歳・女性)
・今のままの家で最期を迎えたい(63歳・女性)
・できれば、老人向けの街中の便利なマンションに住みたいと思っているが、資金が無い。多分現状のままの一戸建ての家で一生過ごすことになるでしょう(73歳・女性)
・娘のそばや、孫たちのそばで暮らしたい(66歳・女性)
・比較的温暖な地域の自然豊かな環境で、のんびりゆったり暮らしたい(62歳・女性)
こうして見てみると、男性は「現状維持」を希望する傾向があり、女性は生活を変えてもOKという回答が比較的多いことが分かります。
20代、30代のころには、「終の棲家」なんて言葉はピンとこないかもしれません。目の前の仕事や子育てに大忙しでしょうし、何十年後より、1年後のほうが大事です。でも、人は必ず年を取ります。子どものことよりも、親の介護を心配する年がやってきます。そんなときに慌てないよう、定年後の将来のことまで視野に入れた住まい探しができるといいですよね。
今回のアンケートでも、「今のままがいい」という人が多数いましたが、「今の生活に満足だから今のままがいい」のか、「変化させたいが、何かしらの理由があって難しいので今のままでいい」のかでは全く違います。気が早いと思うかもしれませんが、20代、30代のころから定年後の住まいに関するプランを考えておくと、自分や家族にとって満足度が高い「終の棲家」を手に入れられるはず。住まいを購入したり、検討する際などに、一度家族で話し合ってみるのもいいかもしれませんね。