来年1月から改正される相続税。リクルート住まいカンパニー「実家の教科書」編集部では、すでに相続税対策を行った206人にアンケートを行った。
自分の家族には相続税はかからないと考える人や、そろそろ相続について考えないといけないとは思いつつも、実際に行動を起こしていない人が多いのではないだろうか。相続税の対策をした人はどのようなタイミングで、どんな理由から行ったのだろうか。
アンケートに回答をしているのは会社員や公務員などの職に就き、年収400万円〜600万円未満の世帯が最も多いことを頭に入れてほしい。つまり、資産家ではない一般の人々でも、相続税対策は行っているということだ。
そんな彼らの約半数となる45.6%が、両親の健在なうちに相続税対策を行ったと回答する。親に相続の話はしづらいと思うかもしれないが、親が亡くなってから慌てても、もはや対策しようがないだけに、アンケートで回答されるように親が元気なうちに行ったほうがいいだろう。
対策を行った理由としては「相続税を少なくするため」が39.8%で最も多い。また「二世帯住宅で親と一緒に住む予定だから」も13.6%いて、親との同居を機に将来の相続について具体的に考えるようになったことがうかがえる。
では相続税対策を行ったことで、実際どんな効果を感じられたのだろう。実家に賃貸を併用するなどして収入が増えたり(18.9%)、親と同居することで小規模宅地の特例(※)を使って相続税を節税した(17.5%)など、やはり経済的なメリットを実感している人が多いようだ。
その一方で、親子関係が良くなったと答えた人も15.5%いる。彼らのコメントを拾ってみると「親子のわだかまりが少なくなった」「同居することで親は残りの人生を私たちと一緒に過ごせるのでよろこんでいる」「話し合いで、親の本音を知ることができた」「二世帯住宅にしたことでお互いを思いやるようになった」……親と相続の話はなんだか不謹慎かなと思っても、実は話し合ったほうが双方にとってメリットが多いようだ。
これまで親と本音で話し合う機会は、あまりなかったという人がほとんどだろうが、残された時間は子どもが思うほど長くはないかもしれない。相続の話をきっかけに、今のうちに親の本音を聞いてみてはどうだろうか。
※小規模宅地等の特例とは、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等、又は事業の用の土地等や土地の上に存在する権利のうち、一定の面積までの部分について相続税の課税評価額を一定割合で減額できる制度