難病の子ら沖縄満喫 ホテル、病院が協力 安心空間を提供


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「沖縄ウィッシュバケーション」で沖縄を訪れた参加者や関係者ら=9日、恩納村のカフーリゾートフチャクコンド・ホテル

 【恩納】難病を抱える子どもとその家族が沖縄の文化や観光を楽しむ「沖縄ウィッシュバケーション」が9~11日の日程で開かれ、参加した2家族(10人)は恩納村のカフーリゾートフチャクコンド・ホテル(荒井達也総支配人)に泊まり、沖縄を満喫した。

 企画したのは「公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢を」(東京都)。同法人の大住力代表理事は「難病と向き合うには、当事者の努力もそうだが、家族の協力も大事。家族の『今』があるのは家族が一丸となって難病を乗り越えたから。そんな家族を応援したかった」と強調。「『皆さんは一人じゃない』『社会とつながっている』ということを実感してもらい、安心できる空間を提供したかった」と意義を説明した。

 東京都から家族4人と参加した西海悠大さん(18)は「難病と診断されたとき、何が何だか分からなかった。自分が置かれている状況が理解できたとき、家族と過ごす時間の大切さを実感した」と家族への思いを話した。沖縄については「青い海とサトウキビ畑の風景が新鮮で、感動した」と興奮気味に話した。

 母親の寿美子さん(45)は「悠大が難病の診断をされてから、助け合わないといけない状況がより家族の絆を強めた」と笑顔で自慢気に話した。

 大阪から家族4人と参加した文野友愛(ゆめ)ちゃん(4)は1年半前に難病、急性横断性脊髄炎の診断を受けた。母親の智穂さん(38)は「診断を受けたとき、奈落の底に落とされたような気分だった。だけど、今では友愛が家族を笑顔にしてくれる。友愛がいたから家族はより優しくなれた」とほほ笑んだ。

 荒井総支配人は「受け入れは今回で4回目。ご家族の方に安心して観光立県である沖縄で思い出をつくってもらうと同時に、私たちもこの経験から多くのことを学んでいる。それらの理由から、この企画に協力させてもらっている」と話した。

 カフーリゾートフチャクコンド・ホテルは宿泊する部屋などを無償提供し、沖縄市の中頭病院のスタッフも企画を通して交流した。