調査の対象は、週に1日以上自宅で料理をする20歳~49歳の男女(回答者:1000名)。そもそも料理をしない人は、調査対象ではないという点に留意しておこう。
まず、「料理をするのは楽しいか」聞くと、「あてはまる」という人は全体の65.1%。これを男女別に見ると、実は男性のほうが女性よりも料理を楽しむ傾向が高いことが分かった。特に、20代・30代の男性は、7割以上が楽しいと回答している。(画像1)
節約目的もあって、学校や職場に弁当を持参する人が増えていることが話題になり、なかでも「弁当男子」が注目された。弁当をつくる頻度について、調査結果を見ていこう。
「週に1日以上弁当をつくる(週に一日程度からほぼ毎日までの合計)」割合は、“家族用”の弁当が28.5%であるのに対し、“自分用”の弁当では32.8%となった。“家族用”の弁当では、高校生以下の子どもと同居している人の割合が高いという傾向があるが、“自分用”の弁当では意外に男女差は少ない。(画像2)
20代・30代の男性で「“自分用”の弁当を週に1日以上つくる」人を『弁当男子』と呼ぶなら、週に一日以上自宅で料理をする男性の3人に1人が弁当男子に該当することになる。
さて、20代・30代の男性がキッチンで定期的に料理をしているとなると、キッチンの選び方にも男性の目線が必要ということになる。
大きな違いは、男女の体格差だろう。キッチンの高さは、「身長÷2+5㎝」が適していると言われる。筆者の身長は160㎝なので、160÷2+5=85㎝の高さが最も作業しやすい高さということになる。キッチンカウンターの高さが低すぎると前かがみになって腰を痛めるし、高すぎると腕や肩が上がり気味となって肩こりがするといったことになりかねない。
注文住宅はもちろんだが、新築マンションでもキッチンの高さを選べる事例が増えている。選べない場合は、85㎝の高さになっていることが多い。女性の平均的な身長を考えてのことだ。キッチンカウンターが高すぎるなら踏み台を置くという対応もできるが、背の高い男性にとって低すぎるのは困りものだ。
また、夫婦ともにキッチンで料理をするという場合は、「どちらがより料理や洗いものをするか」という観点で、キッチンの高さを検討することになるだろう。
同じように、背の高い男性は、レンジフードの高さやキッチン上部の収納の高さにも注意が必要。頭をぶつけたり、せっかくのカウンターキッチンなのにリビングへの視界が遮られたりといったことのないようにしたい。
キッチンの形状や広さ、収納もポイントだ。体格の良い男性がキッチンで動きやすいか、夫婦で一緒にキッチンに立つ場合は作業スペースがあるか、マイ調理器具を収納できるスペースがあるかなど、家庭ごとにチェックポイントを洗い出しておくとよいだろう。
男女の家庭内の役割分担が変わりつつある今後は、住宅の間取りや設備の選び方も変わっていくだろう。居住者サイドはどんな暮らし方をするのかを明確にして、したい暮らし方から間取りや設備を選ぶようになるべき。また、供給サイドは住む人の暮らし方に応じて、間取りや設備も柔軟に対応できるようにする、そんな時代が来ることを期待したい。