西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、幸せを呼び込む「犬の視線」について解説する。
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オキシトシンってホルモンのこと知ってます? 砂肝とか、ハラミとかの、貴兄が好きなホルモンのことではありません。性ホルモンとか、甲状腺ホルモンとかの、アレのこと。
で、このオキシトシンってのが何と関係しているかっていうと、これが幸福感なんですな。恋愛をしている時とか、お母さんが授乳をしている時とか、まぁなんですな、幸福感を感じている時に増加する。誰が呼んだか知らないが、「幸せホルモン」。
実はこのホルモン、麻布大学の研究で、こんなことがわかってる。それは、犬が飼い主を見つめている時間と、飼い主体内のオキシトシンの上昇とに、相関関係がある。
早い話が、飼い主を良く見ている犬と暮らす飼い主は、幸せ度が高い、ってことです。ついでながら、そうした犬自身のオキシトシンも上昇しているんですと。
ちなみにですね、最近の飼い主さんは、犬を手に入れることで、幸せを手に入れようと考えている、そう私は感じています。
それは、「何故犬を飼うのか」、っていう問いに対して、10年前は番犬として、っていうのが上位だったけど、今は家庭が和やかになるとか、子供の成長にプラスなど、いわゆる癒し系が上位に来る。こうした調査結果からも見て取れる。
であれば、犬を飼ったら、ついつい飼い主に視線を向けてしまう、そんな犬に育てるのが一番。逆に、飼い主をあまり見ない犬に育ててしまえば、思い描いた犬とのハッピーライフは、手に入れられない。
さて、飼い主を良く見る犬に育てるイロハのイはですね、「食事の回数を2~3倍に増やし、フードは手からあげる」ってこと。
犬って空の食器にでも注目するでしょ。手からフードをあげれば、飼い主がいわば食器。犬が貴兄に注目する時間も一気にアップする! っていう寸法ですな。
※週刊ポスト2012年3月9日号