西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、子供が犬に咬まれないための術を解説する。
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年に数回、触れあい教室ってのをやっとりまして、昨日も世田谷の児童館に出張ってきました。犬との適切な触れあいは、子ども達の心の成長の大きな栄養となる。しかしですな、注意を怠れば咬まれるという結果にもなる。
昔は、犬の苦手な子が逃げ出して、追っかけられて咬まれる、なんてことが多かった。でも野良犬や放し飼いの犬が少ない現代においては、そうした例はまれ。今は、犬に慣れてる子が、咬まれる。
犬に慣れてる子ってのは、よく犬と触れあってる。自分の家の犬や知ってる犬は、平気で触らせてくれる。で、他の犬も平気で触りにいく。ところがどっこい、中にはカラダを触られることを拒絶する犬もいる。「気安く触んじゃねぇ」って。まぁ、結果咬まれることになっちまう。
実は、子ども達が犬に咬まれないための、魔法の言葉ってのがある。それはですね、「触ってもいいですか」、っていうのがその言葉。この一言を飼い主に尋ねること。コレを、子ども達に約束させる。
スーパーの外に犬がつながれている。さて、どうする? そうだね、そこに飼い主がいなければ触れないね。門扉の内側に犬がいる。手を伸ばせば触れる。でも、そばに飼い主がいなければ……そう、触れないってことだよね。
咬むような犬は飼い主が触らないように、いってくれる。この一言を徹底させるだけで、多くの事故は防げる。貴兄のまわりの子ども達にも、ぜひ教えてあげてくださいな。
思い起こせばかくいう私も、小学生の頃、友人と遊んでてボールがよそのお宅のお庭に入っちゃって、「大丈夫、イヌなんかへっちゃらだよ」なんて、塀をよじ登って庭に下りたら……ガブリ。
ま、犬は番犬、っていう昭和40年代のお話ではありますがね。
※週刊ポスト2012年11月2日号