京都伏見の酒蔵BARで、午前中からうまい日本酒に酔いしれる

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 「飲んでますか~?」

 

どーもはじめまして。メシ通レポーターのミョウガヤです。 ひょんなことから日本酒にハマり、常時冷蔵庫に四号瓶(720ml)が3本入ってないとなんだか落ち着かない、37歳3児の父です。

 

さっそくですが……

 

日本酒は好きですか?

 

私、京都在住歴5年なのですが、京都といえばそう、伏見の日本酒。日本三大酒処の一つですね。
ちなみにあと二つはご存知ですか? え、ご存知ない? じゃ自分で調べてください(嘘です、兵庫の灘と広島の西条ですね)。

 

そんな伏見に、まだ時計の針が12時をまわる前から旨いお酒を飲ませてくれるという、なんとも素敵な酒蔵があるというじゃないですか。
これは……もう行くしかないでしょう!

 

 というわけで……、

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近鉄京都駅から近鉄電車に乗って、

 

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大和西大寺方面へ7駅。

 

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うわさのBARがある「近鉄桃山御陵前駅」に到着です。

 

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改札を出て、駅を背に左手方面大きな鳥居を発見。

 

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目指すお店は逆側で、商店街方面へ。

 

途中、京阪伏見桃山駅を横目に商店街へ。
3本目の筋を右折し徒歩約5分ほどで「藤岡酒造」に到着です。

 

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老舗感出てますねぇ~。赤いレンガの建物の趣が素敵です。

 

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看板、右から読みですねぇ~。歴史を感じます。

 

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そして酒蔵といえばコレ「杉玉(すぎだま)」

 

酒林(さかばやし)とも呼ばれるこれは、酒造りの進み具合を知らせるためのもので、元は酒の神様に感謝を捧げるものでした。

 

できたての新酒が絞られるころに(12月頃)に緑色の杉玉が軒先に掲げられるのですが、最初青々としていた杉玉がだんだんと枯れ色に変わることで、お酒の熟成具合を皆に知らせる役割もあるのです。

 

杉の枯れ具合で時の経過を知らせるなんてオシャレやわぁ~。

 

では、さっそくお店の中へ。

 

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もろみの甘い香りがふわっと漂っています。酒蔵に来たら、この何とも言えない甘い匂いがたまりません。

 

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店内にはいい感じで自然光が入っています。和と洋、古いものと新しいものが溶け合う空間。街のカフェ的な、甘味処のような空気感を醸しています。

 

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今回、お話をおうかがいした藤岡酒造の若女将、藤岡美歩さん。
ご覧の通り、美人若女将です。お店のセンスがよいのも、きっと若女将のチョイスですな。

 

「どうぞ、お店の中も自由に見てくださいね~」と藤岡さん。

 

ありがとうございます。

 

というわけで、店内をいろいろと拝見しました。

 

 

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酒枡のピラミッド。なんかかっこいいです。

 

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待合の椅子もレトロなビロードです。いやぁ、かっこいいです。

 

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「万長」と書かれた酒樽。創業当時の銘柄だそうです。当時のモダンなセンスがあふれていますね。昔のものとは思えません。

 

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紺碧、薄藍、空色・・・。ひとくちに青といっても、さまざまな色がある日本の「青」。そんな美しい青に染められた布が「蒼空」のラベルです。そして、ボトルはなんとベネチアングラス。日本酒では珍しい500mlサイズの瓶です。

 

「10年ほど前にこのスペースをオープンするとき、色々と話し合ってこのサイズに決めたんです」と藤岡さん。

 

明治35年から続く「藤岡酒造」ですが、三代目の当主が亡くなられたときにその歴史はいったん途切れたとのこと。その後、平成14年に新たに蔵を再建し、見事に再興を果たされました。

 

その際、当時の世相や今後の日本酒の立ち位置を考慮し「自宅でふたり、飲みきりサイズで一番美味しく味わえる」サイズで探していたところ、このボトルに出会ったそうです。

 

「蒼空」のお酒は、全量純米酒(水と米だけで醸したお酒)。伏見の井戸水と良質な酒米で醸すお酒はとっても柔らかな口当たりで、一部ファンの間では「silky taste」と呼ばれているんですって。

 

そして、純米酒から純米大吟醸酒まで全てのお酒に同じ手間隙をかけて醸すため、大量生産が難しく、「蒼空」のお酒は希少価値が高いのです。かく言う私も日本酒にハマって以来、「蒼空」のウワサは何度も耳にしており、一度飲んでみたい! と探しまわったのですがなかなかご縁がなく…… と思っていたら! 今回「蒼空」のお酒が飲めるなんて!

 

こんなにうれしい事は、そうそう無いッ!!!

 

昨晩ちょっと寝つけなかったほどです。

 

はやく! はやく飲みたい!
(しかし、せっかくなのでもうちょっとお店のことを紹介するのである)

 

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純米大吟醸の酒かすや、

 

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酒まんじゅうも販売中です。

 

酒タンクを眺めながら 出来立ての新酒を味わう贅沢(PM12:15)

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お待たせしました! いよいよ試飲の時間ですよ!
※基本的には、お酒を買いに来た方が有料で試飲できるBARスペース、ということなので、居酒屋さん的なものではございません。予めご了承ください。

 

うかがったのがちょうど、新酒がどんどん出てくる時期だったようで、通常メニュー表に書きれないお酒が黒板にも書かれています。

 

う~ん、どれもうまそう。全部飲んでみたい……。

 

しかしこれは仕事だ(イマサラ感)!  このあと原稿も書かねばならぬので、飲みすぎて前後不覚になるわけにはいかないのだ。 というわけで……、

 

おススメの厳選3銘柄をください! 

  1. 通年飲める定番のお酒
  2. この時期しか飲めないお酒 
  3. ここでしか飲めないプレミア酒

 

選んでいただきました! 早速ご紹介していきましょう。


1.通年飲める定番のお酒

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▲純米酒 美山錦 火入 グラス1杯 486円

 

きました~! まずは定番、純米酒。美山錦の火入れ酒ですね。

 

美山錦は、お酒の原料になる酒米の品種のひとつで、主に長野県や東北地方で栽培されているものです。そして火入れ酒とは、お酒を加熱殺菌して発酵を止めること。保存性が高くなり、流通にも便利なのです。

 

それに対して生酒は発酵が止まっていないお酒のこと。温度が上がると発酵が進み、味が変化してしまうので、冷蔵技術が発達していなかった昔は、蔵でしか飲めなかった希少なお酒だったんですね(豆知識)。

 

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なみなみと注がれし、美しき酒面の輝き……。愛おしいったらありゃしない。

 

それでは早速一献、いただきます!

 

香りは……ふむふむ、ほんのり甘い米の香りが鼻に抜けます。 続いて、口に含んで舌の上をコロコロ。

 

おお! なんとも柔らかな口当たり。 かといって、水のように薄いというわけではなく、しっかりとした米の甘みも感じつつ、舌先にほのかに酸と苦味を感じます。 これは……!

 

バランスのよい酒だぁ~ぁあ旨ぁあああい!

 

蔵が目指す「料理とともに味わう食中酒」という方向性がよく分かる、飲み飽きしないお酒です。さすが定番のお酒、1杯目からレベルが高いぞ!

 

2.この時期しか飲めないお酒

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▲純米吟醸生酒 山田錦 おりがらみ グラス1杯 518円

 

うぉ~「おりがらみ」きた~! 白く濁ってる!

 

「おりがらみ」とは、もろみを絞った直後の、お米や酵母などの小さな固形物が混ざっているお酒のこと。通常は沈殿させた上澄みだけを瓶に詰めるのですが、おりをからめることでより強くお米や酵母の味を感じられるお酒になるのだそうです。生酒の場合は、微発泡のものもあったりします(ウンチク)。

 

では、さっそく一口。

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っぱぁ~~!
うぅんまぁ~~~い!!

 

自分、あなたのことがタイプっス。

 

おりがらみのお酒って通常「濃い」んです。旨みも濃いのですが、お酒によっては酸味や苦味が勝ちすぎるものも多いのです。

 

が、ですよ。

 

スルっと入ってくる~!

 

 口、鼻、のどを米の旨みがすべり落ちます。爽やかです。うんまいです。たまんないです。

 

幸せです!!(PM12:35)

 

そしてお次は!

 

3.ここでしか飲めないプレミア酒

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▲純米大吟醸生酒 愛山 グラス1杯 572円

 

やっぱ大吟醸って、なんというか高貴なオーラがあるよねぇ。

 

ちなみに大吟醸は、精米(米を削って磨くこと)歩合が50%以下の米で、通常より手間隙をかけて醸したお酒につけられる名称です。つまり原価も工数もたっぷりかかってますので(お高いってことですよダンナ!)。

 

そして、愛山。これも酒米の品種(だと思う)のですが、あんまり聞いたことが無く。

 

教えて藤岡さん!

 

「愛山は、兵庫県のごく一部で作られている“幻の酒米”と呼ばれる稀少なもので、山形の十四代という銘酒を醸している杜氏さんが管理している、とっても貴重な酒米です」

 

すごいプレミアなの出てきちゃったよ!

 

いざッ!一献ッ!飲まいでかッ!

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嗚呼……。

 

これ、スルっと入ってくる感ハンパ無いです。いくらでもいけます!!

 

含んだ瞬間、口の中にスッときて、米の旨み、甘み、酸味、苦味が絶妙なバランスで広がっていきます!! ちょっと興奮しすぎました。でもうまいですホントに……。

 

と、だんだん視界の端がぼんやりしてきたところで、メニュー表に目ざとくおつまみを発見。

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「おつまみくださーい!」

 

で、いただいたのはコチラ。

 

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▲山うに豆腐 529円

 

ナニ? うになの豆腐なの? おいしいの? でも、おススメとのことなので、とりあえず一口いただいてみますか。

 

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……マジでうにの味する。

 

豆腐でしょ? なんで? 不思議だわ~でも超旨いわ~。

 

豆腐を半年ほど味噌などの調味料に漬け込んで作っているもので、熊本からわざわざ取り寄せいているとのこと。手間隙かかってる感すごいです。ハイ、超お酒に合います。

 

ウニ豆腐をなめ、ちびりと酒をやる、そんな仕事を忘れたHAPPY TIMEを過ごしていたころ、BARスペースには試飲のお客さんがちらほら。まだお昼なのに、みんなお酒好き。

 

隣で試飲をされている方を見てみると……、

 

なんか食べてる!

 

超気になる!
すいません、あれと同じものを下さい!

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▲凍結酒 純吟生 山田錦 1杯 653円 ※限定10杯

 

パクッ、シャリシャリシャリ……
ナニコレ!

 

やばい、初めて食べた(飲んだ?)これ。

 

凍らせてシャーベット状にするだけで、こんな味になるんだ。甘みが増すというか、全てがクリアにシャープに感じられます。

 

いやぁ~ちょっと凍らせただけでメタモルフォーゼしてしまうなんて。やっぱ日本酒ってすごいわ。

 

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グラス一杯が85ml程度で4杯なので、二合弱(晩酌並み)。……まぁ、そこそこいい気分になっちゃいますよね。

 

しかし、なんといいますか、思いを込めて造ったものってやっぱり、魂が宿るというか、伝わるもんだなぁ……としみじみ。 ふと、手元にあった藤岡さんの名刺を見ると、こんな言葉が。

 

【よい酒は必ずや天に通じ人に通じる】

 

……藤岡さん、通じてますよ!



あんまり美味しいので、お土産も買っちゃいました(純米大吟醸愛山 生酒 おりがらみ 500ml 3,240円)。今晩からの晩酌が楽しみです!

昼間から、ホントにおいしいお酒を味わいたい方はぜひ訪れてみてください。

 

店舗情報

酒蔵Bar「えん」

住所:京都京都市伏見区今町672-1
電話番号:075-611-4666
営業時間:11:30~18:00
定休日:水曜日(祭日は営業)

※本記事は2016年4月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。

 

書いた人:ミョウガヤノブヒサ

ミョウガヤノブヒサ

京都市在住の旅行系ライター兼ディレクター。全国各地に足を運び、旨いモノを食べ、温泉に浸かる日々。取材先で日本酒の旨さにハマり、現在唎酒師(ききざけし)を目指して勉強中。三児の父、合気道初段。

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