昔の共同井戸“発掘” 仲上原通り会 観光活用目指す


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全容を現した「仲上原共同井戸」と通り会の大城英男会長/=6月17日、名護市旭川

 【名護】名護市旭川の仲上原通り会(大城英男会長)は6月17日、土で埋もれ全容が見えなくなっていた村内で唯一の共同井戸を掘り起こした。今後、市の文化財認定を目指す。共同井戸は仲上原通り沿いにあり、通り散策の目玉の一つとして整備していく方針。

 仲上原には戦前十数軒あり、共同井戸は住民らの生活を支えた。上水道の普及で使われなくなり、周辺の道路整備で半分以上が土砂や岩で埋まっていた。

 17日、市文化財保存調査委員会の岸本林委員長の協力の下、重機で土砂や岩を取り除くとコンクリートで囲われた井戸の全容が姿を現した。囲いには「昭和九年九月」と刻まれており、共同井戸は少なくても1934年にはあったとみられる。

 近くに住む呉屋和秀さん(73)は「この井戸から水をくむのが早朝の日課だった」と懐かしそうに話していた。

 井戸の掘り起こしを見守った市教育委員会文化課文化財係の松原彰子さんは「文化財の認定には、地域の方々が大事なものだから守っていきたいという思いがあることが重要だ。文化財認定の正式な申請があれば、聞き取り調査を行うなど検討する」と説明した。

 仲上原通り会の大城会長は「散策できる観光道を目指す仲上原通りの見どころの一つにしていきたい。早急に文化財認定の申請をしたい」と意気込んでいた。