「米軍属」の対象縮小 適用除外、数%のみ 地位協定は改定せず


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【東京】日米両政府は米軍属女性暴行殺人事件を受け、日米地位協定の軍属の適用対象を狭めることで大筋合意した。ただ県側が求める地位協定の改定には言及がない。適用対象は限定的で、米側に優先的に裁判権が認められるなど特権的とされる米軍関係者の地位に変更はなく、再発防止につながるか不透明だ。

 合意内容は5日に岸田文雄外相と中谷元・防衛相、ケネディ駐日米大使、ドーラン在日米軍司令官が共同発表する。日本政府関係者が4日、明らかにした。

 在沖米軍関係者数は2013年3月末時点で5万2092人、そのうち軍属は1885人で全体の約3・6%。軍属のうち、適用除外となる人数は明らかにされていないが、対象は全体の数%とみられる。

 政府関係者によると、今回の軍属に該当する者を(1)米政府予算で雇用される在日米軍のために勤務する、または米軍監督下にある文民(2)米軍が運航する船舶、航空機に乗る文民(3)米政府の被雇用者であり、米軍に関連する公式目的のために日本に滞在する者(4)技術アドバイザーおよびコンサルタントで、在日米軍の公式な招待により日本に滞在する者―に明確化する方針。

 日本の在留資格を持つ米国人を軍属から除外することも徹底。技術アドバイザーらは対象を狭めるために「高度な技術」「任務に不可欠」を条件にする。

 軍属は地位協定で「米国籍を持つ文民で日本国内の米軍に雇用されて勤務、随伴する者」とされているが、対象が「あいまい」との指摘もあり、日米両政府が協議していた。