第一航空が航空法違反 粟国空港事故 日誌搭載せず


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 粟国空港で昨年8月、プロペラ機DHC6が着陸時に滑走路を外れてフェンスに衝突し、11人が負傷した事故で、当時62歳の機長昇格訓練中の副操縦士が、国土交通省の定めた付加検査を受けずに乗務していたことが、15日までに第一航空などへの取材で分かった。また、事故機に航空法で定められた搭載用航空日誌が備え付けられていなかったことも同日分かった。

 第一航空によると、副操縦士は昨年5月に広島の病院で身体検査を受診。本人は付加検査を病院に依頼したが、実際には行われなかった。付加検査後は付加検査実施結果報告書が発行されるが、本人も同社もそのことを知らず、通常の身体検査時に発行される身体検査証明書を確認し、問題がないと判断したという。副操縦士は、今年1月に県内の病院で付加検査を受けて合格している。

 航空日誌の搭載漏れについて同社は「1機につき整備状況記載の日誌と、離陸時間と着陸時間を記載する日誌の2冊を、搭載していたが、後者を別のプロペラ機のものと間違って搭載した」と説明した。

 大阪航空局航空事業安全監督官によると、副操縦士の付加検査未受診の報告は昨年12月に、航空日誌の搭載漏れの報告は今年2月に、それぞれ同社から受けたという。当時の副機長は62歳以上であったため、国交省航空局が航空運送事業者に通達した「航空運送事業に使用される航空機に60歳以上の航空機乗組員を乗務させる場合の基準」にのっとり、通常の航空身体検査に加えて、頭部MRI検査などの付加検査を受ける必要があった。