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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2016年7月20日 (水)

マンションVS一戸建て、新築VS中古。何を比較し、どんな理由で選んだ?

マンションVS一戸建て、新築VS中古。何を比較し、どんな理由で選んだ?
写真/PIXTA
国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、住宅を比較検討する際に、マンション派、一戸建て派で傾向が分かれる結果となった。ほかにも新築と中古の分かれ目など、住まい選びについての傾向を調査から読み取っていこう。

一戸建て派、マンション派は一貫している?

平成26年度中に住み替えや建て替えを行った人に、比較検討した住宅を尋ねたところ、最終的に取得した住宅と同じ種類※の住宅を最も多く比較検討していた人が圧倒的に多い。
例えば、注文住宅を建てた人は、注文住宅同士で比較検討した割合が68.3%と最も高いという具合だ。しかし、2番手3番手を見ていくと、一戸建て派(注文住宅、分譲戸建住宅、中古戸建住宅)は一戸建て同士で、マンション派(分譲マンション、中古マンション)はマンション同士で比較検討していることも分かった。
※ 住宅の種類:注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンション、中古戸建住宅、中古マンションなど

◎比較検討した住宅(上位3つ・複数回答)
・注文住宅:「注文住宅」68.3%、「分譲戸建住宅」23.3%、「中古戸建住宅」16.7%
・分譲戸建住宅:「分譲戸建住宅」78.3%、「注文住宅」40.3%、「中古戸建住宅」24.9%
・中古戸建住宅:「中古戸建住宅」80.1%、「分譲戸建住宅」45.5%、「注文住宅」17.7%
・分譲マンション:「分譲マンション」85.7%、「分譲戸建住宅」28.1%、「中古マンション」24.7%
・中古マンション:「中古マンション」87.8%、「分譲マンション」34.7%、「中古戸建住宅」19.4%

興味深いのは、「分譲マンション」を買った人では、中古マンションよりも分譲戸建住宅を比較検討した人がわずかに多いことだ。「分譲戸建住宅」を買った人で見ても、3番手の中古戸建住宅に僅差で4番手の「分譲マンション」(23.2%)が続いており、新築の分譲住宅を買った人は『新築』にこだわる傾向がうかがえる結果だ。

注文住宅は依頼先、中古は価格、分譲は新築、マンションは立地を重視する傾向

では、その住宅を選んだ理由を見てみよう。

注文住宅を建てた人は「信頼できる住宅メーカーだったから」が47.6%で、「一戸建てだから」(38.5%)、「新築住宅だから」(37.2%)よりも多くなり、依頼先のプライオリティーが高いことが分かる。

また、中古住宅を買った人は「価格が適切だったから」(中古戸建住宅68.8%、中古マンション71.2%)が最も高く、価格のプライオリティーが高いことが分かる。分譲住宅を買った人が「新築住宅だから」(分譲戸建住宅56.8%、分譲マンション58.9%)を重視していることは、選択理由を見ても明らかだ。

ほかにも、一戸建て派は「一戸建てだから」(分譲戸建住宅61.4%、中古戸建住宅64.3%、注文住宅38.5%)を重視するのに対し、マンション派は「住宅の立地環境が良かったから」(分譲マンション61.9%、中古マンション51.7%)と立地を重視する傾向が見られた。

【画像2】住宅の選択理由 注文住宅取得世帯(複数回答)(出典:国土交通省「平成27年度住宅市場動向調査」)

【画像2】住宅の選択理由 注文住宅取得世帯(複数回答)(出典:国土交通省「平成27年度住宅市場動向調査」)

【画像3】住宅の選択理由 分譲戸建住宅取得世帯/分譲マンション取得世帯(複数回答)(出典:国土交通省「平成27年度住宅市場動向調査」)

【画像3】住宅の選択理由 分譲戸建住宅取得世帯/分譲マンション取得世帯(複数回答)(出典:国土交通省「平成27年度住宅市場動向調査」)

【画像4】住宅の選択理由 中古戸建住宅取得世帯/中古マンション取得世帯(複数回答)(出典:国土交通省「平成27年度住宅市場動向調査」)

【画像4】住宅の選択理由 中古戸建住宅取得世帯/中古マンション取得世帯(複数回答)(出典:国土交通省「平成27年度住宅市場動向調査」)

新築か中古かの分かれ目は?

調査結果では、新築か中古かの分かれ目は単純だ。

新築住宅を取得した人が中古住宅を選ばなかった理由は、「新築の方が気持ち良いから」(注文住宅59.8%、分譲戸建住宅69.9%、分譲マンション68.8%)がダントツに多い。
一方、中古住宅を取得した人が中古住宅を選んだ理由は、「予算的にみて中古住宅が手頃だったから」(中古戸建住宅79.7%、中古マンション78.8%)がやはりダントツに多い。

また、施工者・物件に関する情報収集方法について尋ねると、「住宅展示場」(注文住宅50.8%)や「不動産業者」(分譲戸建住宅40.3%、中古戸建住宅52.3%、中古マンション56.3%)などのプロから情報を得ているが、分譲マンションでは「不動産業者」(29.4%)を抑えて「インターネット」(45.0%)がトップになっている。新築の分譲マンションでは、SUUMOなどの不動産ポータルサイトや、物件のオフィシャルサイトなど、インターネット上に大量の情報を公開していることが影響しているのだろう。

ところで、調査結果は選択肢の設定の仕方が影響を与えるものだ。住宅の選択理由の選択肢に、そもそも「中古住宅だから」はない。中古住宅=価格が安いと想定しているのだろうが、古い一戸建ての趣や木質感を大切にしたとか、マンションの管理やメンテナンスの状況が分かりやすいとか、リフォームを前提に探していたとか、さまざまな理由があるだろう。

新築の場合も、単に新築だから盲目的に安心というわけではなく、高い耐震構造だったり、希望した最新の設備搭載だったり、詳しい理由があるだろう。新築中古問わず、大規模やタワーを条件に探す場合もあるだろう。

住宅市場が成熟して、カスタマーが多様な視点で住宅を探すようになったら、本調査の選択肢も見直されることになるのだろう。

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