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植木鉢泥棒の弁償額 花、種、肥料代に愛着も考慮して算出

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「友人の植木鉢を盗まれました。弁償の範囲などを教えてください」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 塀の外の道路に面したところに花を植えた植木鉢を並べていました。わが家の庭は狭くて入りきらないからです。ところが、その花の鉢が夜のうちに、何者かによって持ち去られてしまいました。友人から借りた鉢もあるので、とても困っています。どうすればよいか、いい方法はないでしょうか。

【回答】
 いい方法とは、取り戻す方法ですか。友人への言い訳の方法でしょうか。前者であれば、警察に盗難届を出すことがまず第一です。しかし、塀の外の道路に出しておいた植木鉢というのですから、気持ちは別にして、経済的価値はそれほど高くないと思います。なので警察の積極的捜査は期待薄です。おとりの植木鉢を出して夜間見張るのも一案でしょうが、うまく捕まえても、相手が弁が立つ泥棒だと、捨てたものと思ったと言い訳するはずです。

 たとえば、手入れが悪い状態でゴミ置き場のようなところに置いてあれば、こんな屁理屈にやりこめられそうです。また植木鉢泥棒は、無闇に捕まえるとケガのもとにもなり、警察に通報して来てもらうのがよいでしょう。

 友人に対する関係では、借りた物を返せないのですから、債務不履行です。損害賠償をするしかありません。植木鉢の値段は、購入価格や類似品の値段から、花は種や施した肥料の値段を基準にして、あとは、これまでに育てた手間暇や愛着を考慮した上での慰謝料を加味し損害額を算定します。

 もっとも、あなたが塀の外に並べていることを、友人も承知していたというのであれば、過失相殺として賠償額を減額することも要求できます。また友人も同様の方法で植木鉢を置いていたり、あなたの置き方を了解していれば、通常の管理をしていたので責任はないという反論も可能です。

 こうした過失相殺や免責を求めるのであれば、友人自身の日頃の植木鉢の管理方法、あなたの外置きに対する認識経過、了解したことなどを記憶があるうちに記録して、損害賠償請求に備えておくことも必要です。ですが、こうした対応は友情を失うでしょう。ここは素直に謝り被害の弁償について相談するのが、良識ある態度だと思います。

※週刊ポスト2012年8月31日号

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