『マルちゃん正麺 カップ 芳醇こく醤油』生に近けりゃ旨いのか!?カップ麺ファン自問自答確実の問題麺を実食!

麺感覚のインスタント袋麺として名高い「マルちゃん正麺」がついにカップ麺に! 東洋水産『マルちゃん正麺 カップ 芳醇こく醤油』(111gうち麺65g・希望小売価格 税抜205円・2015年10月5日発売)は、カップ麺の限界超えに挑戦した一品だ。

 

今回味わったのは「芳醇こく醤油」。他に「香味まろ味噌」と、関西以西限定だが「濃厚とろ豚骨」を発売。「生麺ゆでてうまいまま製法」という身も蓋もないネーミングの製法で、4年がかりで作り上げられたとか。

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もちろん袋タイプの正麺をそのままカップに入れたわけではない。熱を加えるのではなく、蒸すことになるのがカップ麺。根本的にアプローチしなおして満を持してのカップ麺化だ。もう期待と唾液が止まらない。

そのアプローチ方法とは、麺自体に多数の穴を開けて湯戻ししやすくしたことだそうだ。ただ、1982年から4年に一度、1分間調理の「QUICK1(クイックワン)」という気泡を多くした(つまり多孔)カップ麺は存在しており、伸びやすい麺が災いして人気が無かったことを覚えているので、それ自体に期待はしにくい(※2013年に復活)。

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さて、手に持つとひときわ大きい『マルちゃん正麺 カップ 芳醇こく醤油』のフタをめくる。出てきたのはスーパースロー再生で一時停止したような躍動感のある麺。波打つままビシっと一瞬で乾燥されてしまったのだろうか。

湯戻し時間はノンフライ麺なので長めの5分。かやくは焼豚、のり、ねぎ、メンマの東京ラーメン的な4種なのだが、チャーシューの厚さにびっくりする。厚さだけ取ってみればラーメン店と同じくらいある。

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ここで5分経過したのでフタをめくる。ノンフライ麺のお約束としてスープを入れる前にかき混ぜて麺をほぐすのだが、ちょっとばかりほぐれにくい。熱湯を使用したし、5分待ったし、こちらに落ち度はないはずだが、ちょっとほぐれにくい。

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多少ほぐれ切らない感の中、スープを投入。フワーッと広がる鶏ガラ醤油な香ばしい香りがたまらない。ダシに豚も入っているのだが、全体的に東京ラーメン的な中華感がみなぎっていて実に旨そう。

スープから行ってみる。うーん、芳醇というのは嘘ではない。醤油感と鶏豚の旨味が混じりあった、これぞ中華そば、な感じの旨さ。素晴らしい。そして麺、勢い良くかき込もうとしたら、ほぐれきってない麺がまとまって口に入ってきて「熱ッ」となる。まるでチルドタイプの生ラーメンをあまりかき混ぜずに調理した時のような塊が少々。まあ、それも生だし。実際にバラして食べてみるとうるうるツヤツヤの麺はもうキューティクルにでも覆われているんじゃないの!? というレベル。確かにカップ麺としては麺の細さを除けば生麺に果てしなく近い。

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麺の縮れ具合も絶妙で、まさにお店のラーメンを食べている気に75%くらいなれる。絶妙スープと絡み合って生み出されるハーモニーはまさに高架下にありそうな東京ラーメンそのものだ。そこに分厚いチャーシューと、その分小さくなってしまったのかと思うメンマを一緒に口に入れると確かにカップ麺のフィーリングではない。

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と、ここで己を振り返る。カップ麺ファンとしての自分を見つめなおす。果たして、お店で出てくる生麺使用のラーメンが自分にとってベストの味なのかと。袋タイプの「正麺」の時にも思ったのだが、インスタントラーメンにはインスタントラーメンの味わいがあり、歴史もある。人によっては安っぽいと思われるかもしれないが、インスタントの良さもあるのだ。

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その点でカップ麺ファンならこの『マルちゃん正麺 カップ 芳醇こく醤油』は自問自答確実な一杯だ。自分は果たしてカップ麺に何を求めているのかという究極の命題がそこにある。

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記者の場合は、ここまで来たらむしろラーメン店に出かければいいのではないかと思ってしまう。もちろん205円でラーメンは食べられないのでコスト的なメリットはあるし、こうした王道な東京ラーメンは、意外と店舗として少ないのも事実。そんな時ならこの『マルちゃん正麺 カップ 芳醇こく醤油』を選ぶ価値は十二分にある。

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ただやはり、カップ麺が生麺を目指すというのは王道なのかもしれないが、B級なお楽しみとしてのカップ麺を愛する者としては少々不安。これがあまりに好評を得たら、いかがわしいタイプのカップ麺文化が滅びてしまうのではないかと…。それだけが心配だ。

オススメ度:(買っても損はない)
公式サイト:マルちゃん正麺 カップ

記者

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清水 りょういち

食レポからタバコ・コーヒーなどの体に悪い系、果てはIT、経済分野までフォローする新しもの好きライター。「わかりにくいをわかりやすく」がモットー。元「月刊歌謡曲/ゲッカヨ」編集長

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