ラーメン体験をデザインする「スガキヤラーメンフォーク」【料理ツール・マニアックス】

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料理に関する優れたツールを追い求め、カトラリーが充実しているワンランク上の大人「カト充」を目指す本企画。

今回コレクションに並びますのは「スガキヤラーメンフォーク」です。

 

主に東海地方を中心として、関西や北陸でも展開している外食チェーン「スガキヤ」。和風とんこつのラーメンとソフトクリームは、現地のソウルフードとして定着しています。

筆者の愛知県出身の友人たちも、部活帰りに「スガキヤ」でラーメンとソフトクリームを食べるのが定番だった、という話を懐かしそうにしていました。

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その「スガキヤ」で使われているのが「スガキヤラーメンフォーク」

フォークとスプーンを合わせたような形状をしており、ラーメンを食べる目的に特化していることがひと目で分かる優れたデザインのカトラリーです。

ホームページにはこうあります。

ラーメンフォークは、昭和53年、弊社先代社長「菅木周一」により考案されました。毎日大量に捨てられる“割り箸”を見て、環境保護と経費削減を目的に開発されました。(出典:よくある質問 | スガキコシステムズ株式会社

たしかに大きなラーメンチェーンともなると、1日に使われる割り箸の量も相当なものになるはずです。ラーメン専用の使いやすい道具を開発することで環境保護と経費削減になると考えたスガキヤ先代社長の慧眼には、経営者ならではの鋭さを感じます。

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裏側に刻印された「スガキヤ」のロゴが素晴らしい。製品に対する自信を感じます。

表面のヘアライン処理が上品な仕上がりにひと役買っています。

ちなみにいま使われているのは、リニューアルされた二代目の「ラーメンフォーク」。左右どちらが利き手でも使いやすいようにユニバーサルデザインになっています。

ちなみに初代「ラーメンフォーク」はフォークとスプーンの部分がオフセットされており、右手で使うために最適化された機能美がありました。

 

スガキヤラーメンを食べます

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「スガキヤラーメンフォーク」を紹介するならスガキヤのラーメンを食べるべきでしょう。インスタントですみません……。

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ノンフライ麺とオリジナリティあふれるスープ。「隠し味」の小袋がうれしいです。

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まずはスプーンの部分でスープをいただきます。

思った以上に飲みやすい形です。

筆者の生まれ育った場所に「スガキヤ」はありませんでしたが、この和風とんこつのスープの味は似たものがありません。東海地方出身の友人たちが懐かしがるのもうなずけます。

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フォーク部分で麺をひっかけます。

ちょうどひとくち分をすくい上げてくれます。偶然かと思いましたが、何度やってもちょうど食べやすい量の麺をひっかけます。これはデザインの妙。

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ためしに、スパゲティのようにくるくると巻きつけてみました。これはこれでできてしまう。普通のフォークのように使えます。

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ゆでたまごやチャーシューも持ち上げやすいです。

思った以上の使い心地に正直ちょっと驚きました。

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フォーク部分で麺をひっかけたのを正面から見るとこうです。

フォーク部分の幅が口に入りやすいサイズ。かなり練られたサイズ感だと思われます。おかげで麺とスープが一緒になってほどよい感じに口の中に入ってくるのです。

 

ラーメン専用カトラリーとしてのデザイン性

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あまりに食べやすかったのでよく見てみると、フォーク部分の隙間は入り口がせまくて奥が広くなっています。ひっかけた麺が抜け落ちにくいデザインになっているんですね。

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フォークの歯にも上反角がついています。麺をすくい上げるために考えられた角度なのでしょう。ちなみに素材の厚みもそこそこあって、口当たりが上品です。

素材が薄いスプーンやフォークだと、口当たりがちょっと痛かったり頼りなかったりして食感を損ねることがあるじゃないですか。あの感じがないんです。

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試みにこの「ラーメンフォーク」で焼きそばも食べてみましたが、やはり食べやすいです。この程度の太さの麺もの全般に使える逸品ですね。

外国人旅行者の食べてみたいものとして日本のラーメンがありますが、箸を上手に使えない人にとってはかなり便利なカトラリーとなると思われます。そして実際検索してみると、わりと外国人に喜ばれているようなのです。

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「スガキヤラーメンフォーク」は、そのデザイン性と機能性によりニューヨーク近代美術館のミュージアムショップ「MoMA Design Store」の商品になっています。

シンプルなラインのユニバーサルデザインで、機能を感じさせるディテールがあり、なにをする道具かも一目瞭然。仕上げにも高級感があります。

たしかにこれは名デザインです。

ラーメン体験をハックする素晴らしい道具です。

 

モデルチェンジでユニバーサルデザインに

とくに2006年にモデルチェンジした後の「ラーメンフォーク」は工業デザインとしてかなり洗練されたものになっています。右利きも左利きも使いやすいユニバーサルデザインには、コンセプトの確かさを感じます。

開発上こだわった部分をスガキコシステムズに聞いてみたところ、そもそも「スガキヤラーメンフォーク」は店舗で使用することを前提としているので、素材は耐久性などを考慮したものになっているそうです。たしかに肉厚なステンレスには安心感があります。

 

麺をひっかけやすいフォーク部分の形状、スープをすくいやすく飲みやすいスプーン壺部分など、形状に関してもずいぶん検討を重ねたとのこと。

さらに重さも大事。軽すぎると頼りないし、重すぎてもストレスです。スガキヤさんは「手にして一番しっくりくる重量」を追求したという話です。

 

素材、使いやすさ、重さにこだわっての、この仕上がりというわけです。

 

手に入れるには

「スガキヤラーメンフォーク」は、「スガキヤ」の店舗で使われています。

個人で欲しい場合は、ニューヨーク近代美術館MoMAのミュージアムショップで購入することになります。

ただし、好評商品のため品薄な状態とのことなので、売り切れの場合は再入荷を待ちましょう。

 

お店情報

スガキコシステムズ株式会社

 

MoMA「スガキヤラーメンフォーク」

 

書いた人:鷲谷憲樹

鷲谷憲樹

フリー編集者。ライフハック系の書籍編集、専門学校講師、映像作品のレビュアー、社団法人系の広報誌デザイン、カードゲーム「中二病ポーカー」エバンジェリストなど落ち着かない経歴を持つ器用貧乏。好きなインスタント麺のタイプはノンフライ。

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