現在、マンション・リノベーションは、まだ東京中心の事業エリアという事で、その本部がある無印良品・有楽町店へ向かった。
無印良品 有楽町リノベーションセンター豊田店長にお話を伺った。
——「MUJI INFILL 0(MUJIインフィル・ゼロ)と名付けたリノベーションは、どんなものですか?
無印良品の家では、一戸建て建築・賃貸マンションのリノベーションを経て、2015年9月から「MUJI INFILL 0」を商品化し分譲マンションのリノベーションをスタートしました。中古マンションが対象になりますので、より都市で住まう選択肢が増え注目されています。
「MUJI INFILL 0」というのは、住戸の床・壁・天井全てを撤去し、躯体・サッシに水まわりだけにした“リノベーションの原点=0”の意味。フル・スケルトンにする事で配管など構造性能までを一新するのが特徴です。一部のみのリフォームはお受けしていません。
——なるほど、間取りや内装を変更するだけのリフォームとは根本的に異なるようだ。
住戸をフル・スケルトンにしたら、次に、全体を断熱化する。断熱性を高めることで、暑さ寒さを伝えにくくして快適な空間をつくり出す。結果、冷暖房の効率も良くなって電気代も抑えられるのだ。
断熱で最も重要なのが窓。古いマンションの窓はアルミサッシ+単板ガラスの場合が多い。アルミの熱伝導率は高く、冬の結露は悩みの種。MUJIのリノベーションでは、元の窓に樹脂製の内窓を取り付ける事で、ひと冬に窓を通して失うエネルギー消費量を灯油換算で1/3に抑制(北海道大学調べ)できるという。
そして建材、キッチン・バス・洗面設備を選んで「MUJI INFILL 0」が完成する。
床は断熱化で少し高くなるが、天井は配管を現したままにするので天井高は従来より高くなる。
これぞ、すっぴん“無地”空間。注文建築のように、0(ゼロ)からクリエイトするワクワク感がある。
——そして「MUJI INFILL 0(MUJIインフィル・ゼロ)」から「MUJI INFILL +(MUJIインフィル・プラス)」へ。0から+、内装を足してゆくという事ですね?
MUJIのリノベーションを支持してくださるお客様は、「MUJIインフィル・プラス」の考え方に共感してくださる方が多いのです。内装を自在に編集するのを楽しんで頂けるよう、MUJIとしては7000アイテムを超える「暮らしのパーツ」を「MUJIインフィル・プラス」と呼び、壁紙やドアノブといった建具のアイテムもご提供しています。
・MUJI INFILL +のプラン例
「MUJI INFILL 0」の一室空間がベースなので、将来10年20年後に家族構成が変わっても「MUJI INFILL +」によって空間変更ができる“可変性”の高い住まいであることも評価頂いています。
——シンプルな生活スタイルを好むMUJIファンに、ピッタリとハマるコンセプトに納得。
「MUJI INFILL 0」へのリノベーション費用は、物件の条件にもよるが70m2前後で約600万円という事。お話を伺って、実際にリノベーションされたお宅を見たくなり……次回は、完成入居宅に訪問取材することになった。実邸のレポートにもご期待ください!