政府、辺野古の記述削除要請 外来生物対策のNGO勧告案 国際自然保護連合は却下


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
埋め立て用土砂の搬入に伴う外来生物被害が心配されている米軍キャンプ・シュワブ周辺海域=2013年4月

 9月に米ハワイ州で開催される国際自然保護連合(IUCN)の第6回総会に先立ち、日本自然保護協会などの非政府組織(NGO)6団体が日米両政府とIUCNに沖縄本島の外来生物対策を求め共同提出した勧告案を巡り、外務省が2度にわたりIUCNに対して沖縄県名護市辺野古の新基地建設計画に触れる記述を文案から削除するよう要請していたことが分かった。IUCN側は削除要請にいったん応じたものの、複数の会員から「生物多様性を脅かす恐れがあり、外すべきでない」などの意見があったため、最終的に外務省の要請を却下した。

 勧告案は、辺野古新基地建設工事で島外から大量の土砂が搬入されることにより、外来種が沖縄に入り込む恐れを指摘。その上で第三者的立場の専門家の関与を伴う外来生物の混入防止対策の必要性を訴えている。外務省は勧告案の文言を議論するために開設されたIUCN会員向けのウェブサイト上で、「生物多様性への危惧は辺野古や大浦湾に限定するものではない」という理由で、IUCNに辺野古関連の記述の削除を要請。その際、那覇空港第2滑走路の埋め立て事業などこれまでにも県外から大量に土砂搬入した事例を挙げ、勧告案は「不適切で矛盾している」との見解も示していた。
 琉球新報社の取材に対し外務省は1日、「5月と6月に修正、削除などを求めた」と事実を認めている。
 勧告案はIUCNのウェブサイト上で8月3日~17日までの期間で受け付ける電子投票にかけられる。160カ国の政府やNGOなどで構成されるIUCNの総会で沖縄の外来種問題が議論されるのは初。採択されれば、辺野古新基地建設計画の見直しを求める声が高まりそうだ。