人口140人の小さな集落、沖縄・高江 「賛成なんて一人もいない」ヘリパッド建設強行


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米軍北部訓練場の新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設のため、全国から派遣された機動隊員。高江区民から「悔しい」「もう少しやり方があるはずだ」との声が漏れる=22日、東村高江

 「地元に住む人のほとんどは反対運動に参加していないじゃないか」―。米軍北部訓練場の新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する座り込みが連日続いている中、村外の人からそんな声が漏れ伝わる。

 高江に住む浦崎直秀さん(68)はその批判に対し語気を強めた。「賛成している人なんて今も一人もいない」。高江区は1999年と2006年、住民総会で移設反対を決議している。だが、伊集盛久村長が移設を容認しヘリパッド工事は進められ2カ所が完成している。浦崎さん自身、座り込みに行くことはほとんどない。「運動に行きたいという気持ちはあるけど畑をしていたら一日中そこにはいられないさ」

 人口約140人の小さな高江集落のほとんどは、農業で生計を立てている。農家にとって、1日でも作業を休むと農作物に影響が出る。生活が懸かっているため、ヘリパッドに反対だが声を上げ切れない人は多い。

 農業を営む高江州義勝さん(73)は「オスプレイもうるさいからヘリパッドには反対している。でも食べていくことが最優先。座り込みをしてどうやって飯が食えますか」と、自分に言い聞かせるように言った。

 高江区の仲嶺久美子区長(66)は普段から区民のことを「家族みたいな存在」だと話す。報道陣の取材が相次ぎ疲れが顔に出ていた。「警備も物々しくて交通量も増えて、住民の暮らしに支障を来さないかを心配している」と懸念を示した。

 「小さな集落だからこそ、つながりを大切にしている。言いたいことを言わない人は多い」と喜友名崇さん(45)は話す。

 60代の男性は「息子が村役場に就職し反対の声を上げづらくなった人もいる」と小さな声で言った。

 国が工事を強行する中、政治によって高江区が二分しているかのように言われることもある。浦崎さんは同じ東村民に「高江は大変だね」と人ごとのように言われたことがある。「そうじゃない。全国的な問題で、同じ村民として考えてほしい。村が反対って言ってくれたら、みんな頑張ると思う。区は二分なんてしていない。みんな本当は反対だ」。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設は、翁長雄志知事が反対し国に意見を述べてきた。現在、工事は止まっている。小さな集落に生きる人々は「声を上げても変わらない」という思いと「全国的な輪が広がって流れが変わってほしい」。そんな思いの中で揺れている。(阪口彩子)

英文へ→Takae, a village ward of 140: “Not a single person is in favor” of helipad construction