たった一人で「森の遊園地」をつくったおじいちゃんが大切にしている、自然との向き合いかた

北イタリア、ベネト州に暮らすブルーノ・フェリーニさん。彼は発明家であり、自ら「エコパーク」と名付けた、森の中の遊び場をたったひとりで創りあげた人物です。

森の中の施設だから?廃材でつくるから?彼が考えるエコロジーの観点は、自然から学ぶ姿勢にありました。

ここでは、本人のインタビュー動画を書き起こして紹介したいと思います。自然に意識を向け、そこに身を投じ、カタチにしていくこと。そして、いまなぜそれが必要なのか。深い!

設計図は、すべて
自然のなかにある「動き」さ。

──私は自然のなかにあるムーブメントが好きなんだ。木の葉がこすれ合う動きだとか、鳥が羽ばたく様子がね。造りあげる乗り物はね、この自然界の動きをベースにしているんだよ。森に分け入って、足元から頭の上まで見渡したあとは、不思議と制作に没頭できるんだ。「よし、じゃあ始めようか」って具合にね。

──たった1時間のときもあれば、丸1日こもっている日もある。1ヶ月がかりってことだってね。そこは、自分の気の向くまま。ちょっとずつアイデアが膨らんでいって、そうしてようやく一つの乗り物になる。まだ誰も乗っていない出来上がったばかりのマシンを見て思うんだ。「なんて美しいんだろう」ってね。

遊具は、どれも手動式
汗を流すことが大切なんだ。

──小さいものから大きいものまで、合わせたらだいたい40から50基くらいは造ったかな。もちろんすべて手動、モーターなんてひとつもないよ。押したり漕いだり、とにかく汗を流すことさ。そうしてやらないと、私の乗り物はちっとも動かない。これが、「エコロジカルパーク」のいちばん大切にしているところで、美しい部分さ。

親が子どものお手本になる。

──それからもうひとつ。親が子どもに乗り方を教えてやる。そうやっているうちに、大人たちもみんな童心にかえっていける。そう確信しているよ。だって、それって素晴らしいことじゃないか。

──みんなが楽しんでいる表情を見るのは最高だね。あとは、日没後、誰もいなくなったパークを歩きながら、自分が作り出した発明品を眺めている瞬間がたまらない。だって、何もないところから創りあげた、すべてがここにあるんだから。

驚くことに、これまで一度もエンジニアとしての資格を得たり、訓練を受けた経験のないブルーノさん。ありのままの自然にインスパイアされ、動力を使わずに遊ぶ方法を40年にわたり、ひとりで創りあげてきました。

当初「エコパーク」は、家族が経営するレストランに併設する形で、食事をするお客に無料開放されていた施設でした。それが、今ではこの森で遊ぶことを目的にやってくる人の方が多いんだとか。ブルーノさんの強い意志で、今でも無料開放だそうですよ。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。