着陸帯G地区、運搬車予定の4倍 工程変更、生物・住民へ負担増 


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリパッド建設工事に大幅な工程変更があるとして沖縄防衛局が7月に県に提出した環境影響評価検討図書の全文が27日までに、明らかとなった。G地区では工期の大幅短縮に伴い、資材運搬車両の1日当たりの走行台数が当初予定の約4倍になるなど、動植物や周辺住民にとって大幅に負担が増すことが分かった。防衛局は検討図書について今後、県と協議する意向はなく、事後調査報告で対応する方針。

 G地区進入路では資材運搬車両の走行台数が1日当たり当初の33台から124台に増えるため、ロードキル(動物の道路上での事故)が発生する可能性が高まると記述している。

 県道70号からN1地区に至る道路の斜面崩落の復旧で、小型の建設機材を使用せざるを得ないため、造成期間などは当初計画より18~50日増える上、機材から出る大気汚染物質の排出量も増加することになる。

 他にも、宇嘉川流域での濁水処理水の放水や、H地区付近の既存残土置き場を作業ヤードとして利用することによる赤土流出と水質汚濁への懸念を明記した。

 それぞれの影響について防止策を取るとしているが、県は先月22日付の文書で「適切な環境影響評価が実施されたとは言えない」として、「検討図書で示された工事計画に変更すべきではない」との考えを防衛局に伝えている。

 防衛局が2007年に自主的にまとめた環境影響評価図書(アセス)では、N1、H、G地区のヘリパッド建設工事について「動物への影響を少なくするため、1地区ずつ施行する」としていた。だが、検討図書では基地負担軽減を理由に、一日も早い返還を実現するためとして、工期を当初予定の1年1カ月から6カ月に短縮し、3地区同時に実施することが明記されている。