<社説>退役軍人新基地反対 米国での広がり期待したい


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 退役軍人らでつくる平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」が総会で、辺野古新基地建設と米軍北部訓練場でのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)新設の中止を求める二つの決議案を可決した。

 米軍基地の重圧に苦しむ沖縄の状況を看過できないのだろう。全会一致の可決は、沖縄の異常な状況の加担者になることを明確に拒否する姿勢の表れである。
 選挙で示された沖縄の民意などに立脚した二つの決議を高く評価して敬意を表するとともに、深く感謝したい。
 辺野古新基地建設に関する決議文は(1)普天間第1海兵航空団の撤退(2)新基地建設計画の撤回(3)沖縄からのオスプレイの撤収-を、地方議会などで決議するよう働き掛けることを明記している。
 米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設するのではなく、部隊撤退による撤去・閉鎖を求めている。県内移設を拒否する沖縄の民意にも沿った内容と言えよう。
 120あるVFPの各支部のうち、特に米国内の支部が決議の実現に取り組み、辺野古新基地建設計画の中止を求める米国世論を喚起することを望みたい。
 米国では昨年、カリフォルニア州バークレー市議会、マサチューセッツ州ケンブリッジ市議会が辺野古新基地建設に反対する決議案を可決している。
 市議会などの反対決議がさらに広がれば、米政府がそれを無視することはできないだろう。米国内で大きなうねりをつくり、米政府を新基地建設計画断念に追い込んでほしい。
 ヘリパッド新設中止を求める緊急決議文は、東村高江での抗議者排除について「日本政府が沖縄を植民地と捉えている」と指摘した。日本政府は真摯(しんし)に受け止め、強権的なヘリパッド新設を断念すべきである。
 決議文は「われわれ元米兵は、米軍が沖縄の人々に対する露骨な差別的対応に加担していることを恥じ、憤りを感じている」とも強調している。当然の感覚であり、その感覚を一般市民にも広げてほしい。
 VFPの設立目的は「戦争の終結」である。辺野古新基地建設への反対や北部訓練場でのヘリパッド新設を拒否することは設立目的に合致する。沖縄の民意を支援する取り組みの継続を期待したい。