ホオジロザメ “母乳”で子育て 妊娠初期に子宮内分泌


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ホホジロザメ(全長約5メートル)の妊娠しているメスの個体(沖縄美ら島財団提供)

 【本部】沖縄美ら島財団は、ホオジロザメが妊娠初期に子宮内で脂質を多く含む液体(子宮ミルク)を分泌して受胎している子ザメを成長させていることを解明した。16日に英国のオンライン学術誌「バイオロジー・オープン」で発表した。同財団は「生体観察が難しいサメの知られざる生態を明らかにした、世界的にも非常に貴重な報告」としている。

 子ザメは子宮内で供給される無精卵のカプセル(栄養卵)を食べて全長約1・2~1・5メートルまで成長することがこれまで知られていた。子宮ミルクで70~80センチに成長した後、栄養卵を食べることが分かった。

 2014年と16年に読谷村漁協が偶然捕獲した妊娠メス個体の提供を受け、2個体を分析、比較することで明らかになった。子宮ミルクはマンタなどのアカエイ類に見られる特徴だが、サメの仲間では初めて確認された。

 ホオジロザメは映画「ジョーズ」でも知られる全長最大6メートルほどの大型のサメ。国際自然保護連合が絶滅危惧種に指定している。他の多くのサメ類と同様、妊娠期間や繁殖場所など生態の多くは未解明のままだ。

 子宮ミルクを分泌するためには多くの栄養が必要であると考えられることから、同財団総合研究センター動物研究室の佐藤圭一室長は「沖縄のどこで餌を食べているのかを知ることが次の課題になる。それが分かればサメと人間の遭遇を回避でき共存が図れるだろう」と話した。