少数言語のモデルに しまくとぅば継承シンポ 若手研究者ら報告


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「しまくとぅばの継承」をテーマに、若手の研究者らが実演を交え活動報告した=22日、那覇市の県立博物館・美術館

 9月18日のしまくとぅばの日に合わせ、シンポジウム「『しまくとぅばの日』条例制定10年を迎えてその課題と可能性-次代につなぐために私達が考える継承のあり方-」(沖縄美ら島財団主催)が22日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。継承に取り組む若手の研究者や実演家ら4人が活動を報告。50年後、100年後を見据え「継承が成功すれば、他の少数言語のモデルにもなる」などと語った。

 琉球大学大学院生の親川志奈子さんは、絵本を各地の言葉で読み上げるアプリの作成を報告。今後の課題として「学びたいと思っている若い世代に、どうチャンスを与えていくかが大事になる」と話した。沖縄国際大学などで非常勤講師を務める當山奈那さんは、国頭村奥の言葉の会話練習をする教材を開発。「誰でも、いつでも、どこででも学べるようにしたい」と語った。

 演劇集団「比嘉座」座長の比嘉陽花さんは、高齢者がしまくとぅばで語る沖縄戦について「表現が豊かで、哲学がある。無作為に人が殺される戦をうまく表現している」などと説明。「今なら聞ける話がある」と強調した。舞台発表などを通し子どもの人材育成に取り組む沖縄ハンズオン理事長の安慶名達也さんも、沖縄戦や歴史上の人物などを劇のテーマにする。「歴史や文化に興味を持つことでしまくとぅばを学ぶようになる」と効果を語った。