〈ハリアー墜落〉墜落、年1度の頻度 広大な基地が“呼び水”


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 米海兵隊のAV8ハリアー戦闘攻撃機が辺戸岬から東約153キロの海上に墜落した。県内では1972年の日本復帰以降もおよそ年に1度の頻度で米軍機の墜落事故が起きている。祝日で多くの県民がのどかな一日を送っていた中で発生した今回の事故は、基地と隣り合わせの日常が非日常に変わる危険性を改めて示した。

 事故を受けて翁長雄志知事は原因究明までは同型機の飛行中止を米軍に求めるコメントを発表した。だが米軍はこれまでも重大事故の後に、原因特定を待たずに早々に飛行を再開してきた。米軍に基地を提供する日本政府が県民の懸念を真摯(しんし)に受け止め、米側にどのような姿勢で臨むかも注目される。

 そもそも、事故の根本的な原因は沖縄に基地が過重に集中していることにあることは、事故を起こしたハリアーの運用からも明らかだ。機体は米本国に籍を置くが、沖縄に拠点がある第31米海兵遠征部隊の指揮下に入っていた。7月から山口県岩国に移り飛行訓練をしていたが、8月から1カ月ほど嘉手納にとどまっていた。

 ハリアーは岩国ではできない対地射爆撃訓練や異機種戦闘訓練を行うために、たびたび嘉手納基地に飛来する。久米島の鳥島射爆撃場などで爆撃訓練を繰り返しており、嘉手納基地の所属ではないが、実態は常駐化している。沖縄で米軍に広大な基地と空域、水域を提供していることが事故の“呼び水”となっている。(島袋良太)