「ただいまー」って、帰っておいで 図書館開所、食事も提供


社会
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子どもの好奇心をくすぐる絵本や児童書などが並ぶ本棚

 子ども図書館「にじの森文庫」(伊志嶺幸美館長)が25日、那覇市松川に開所した。絵本から児童書、歴史漫画など約500冊を取りそろえ、児童生徒が放課後や休日、読書しながらゆったりと過ごせる空間を整えている。開所は火水土曜日の週3回で、平日は夕食、土曜日は昼食を提供する。同日、開所式が開かれ、約20人の児童生徒が訪れ、食卓を囲み談笑しながら楽しいひと時を過ごした。(高江洲洋子)

 「にじの森文庫」は、児童養護施設などを巣立つ若者を経済的に支援する「にじのはしファンド」の糸数未希代表や伊志嶺館長、不動産や通信事業を展開する「レキオスホールディングス」(宜保文雄社長)などの構想が結実する形で開所した。

 児童館がなく公園も少ない大道、松川地域に「子ども図書館をつくりたい」という夢を描いていた糸数代表は、浦添市の児童センターを介して伊志嶺館長と出会い意気投合し、実現へ動き出した。レキオスは社会貢献活動に力を入れており、元飲食店だった空き物件の賃貸交渉と内装の改修を手掛けた。

開所式の後、かき氷をほおばる子どもたちと居場所のスタッフ、ボランティア=那覇市松川の「にじの森文庫」

 伊志嶺館長は、小学生の息子の友人が自宅に遊びに来ると、一緒に食卓を囲んできた経験があり「『ただいまー』って気軽に帰ってこられる、実家のような場所にしたい」と笑顔で夢を描く。

 文庫の蔵書は、「ぐりとぐらシリーズ」など絵本のほか、世界各地の衣装や家を収めた写真集、学習漫画や世界の偉人伝など。「にじのはしファンド」を支援する大阪府在住の会社代表が約500冊を寄贈した。

 文庫に足を運んだ小学6年生の男児は「食事がおいしかった。また遊びに来ようと思う」と話していた。5歳と3歳の息子を連れて来所した兼次優子さん=那覇市=は「児童館がないのでどこへ連れていけばいいのか、困っていたがここがあれば助かる。明るくて畳間もあり過ごしやすい」と満足そうに話していた。糸数代表は「子ども会議を開き、子どもの声を聴いて、運営内容を充実させたい」と思いを込めた。10月30日は日没後からイベント「ハロウイン・ナイト」を開く。

 運営費用は、子どもの居場所に関わる内閣府の補助金も活用している。にじの森文庫は、那覇市松川275の4 スイートハウス1階、火・水曜日は午後3時から午後6時まで。土曜日は午前10時から午後6時まで開所。食事代は子ども無料で大人は200円。連絡先は(電話)070(4402)9201。