世界から同窓生350人集う キングスクール


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 1957年に設立され、89年に閉校した私立学校クライスト・ザ・キングスクール(キングスクール)の同窓会が28日、那覇市内のホテルで開かれ、卒業生約350人が出席した。世界のウチナーンチュ大会の開催年に合わせた恒例行事。世界中に羽ばたき、各地で成功を収めた卒業生らが古里で一堂に会し、旧交を温めた。

世界中から集い、同窓会を楽しむクライスト・ザ・キングスクールの卒業生=28日、那覇市のホテルかりゆしアーバンリゾート・ナハ

 キングスクールは米軍基地内で働くフィリピン人の子どもなど、米国籍がなくて基地内の学校に通えない子どものために、親の寄付で設立された。多様な国籍や宗教など、異なる社会的背景を持つ子どもたちが同じ教室で学んだ。

 当初は宜野湾市宇地泊の米軍施設内でカマボコ型の「コンセット校舎」を使用していたが、宜野湾市真栄原に移転、校舎も新設した。幼稚園から高校までの一貫教育で、授業は全て英語。カトリック式の教育だが、他宗教も受け入れ、米軍人の子どもも県民も、その他の外国人も同じ教室で学んだ。子どもたちは異文化を尊重し、互いに認め合うという人権感覚を自然と身に付けて巣立っていった。

 80年卒業の佐久田トニーさんは「国籍、肌や髪の色に関係なく、みんな一生懸命に生きている友達だった」と回顧。同年に卒業した福原英子さんも「外に出てから、視野が広いということが分かった。皆、異文化を分からないから怖がるが、私たちはミックスの環境で育ったので、自然とお互いを尊敬できる」と話した。

 世界のウチナーンチュ大会に合わせた同校の同窓会は恒例になっており、毎回、世界中に散らばった卒業生が沖縄に集う。69年卒業のロバート・ペインさんは「アメリカに住んでいるが、沖縄が古里だと感じる。沖縄はとても特別な場所だ」と語った。