環境権の確立へ 日本環境会議沖縄大会 生態系と自治権考察


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 環境問題に携わる研究者や学者、NGO団体などが集まる「第33回日本環境会議沖縄大会」は2日目の22日、沖縄国際大学で全体会と二つの分科会があり、200人以上が参加した。基調講演した宮本憲一日本環境会議名誉理事長は「最大の環境破壊は戦争である」と指摘し、沖縄県が先駆的に環境権条例を制定すべきだと提言した。全体会では宮本氏を含め5氏が基調講演し、米軍基地に由来する環境問題や日米安保の実態、沖縄が直面する構造的差別の現状などを報告。人権や自治権、法治国家の在り方について検証した。

日本環境会議沖縄大会第一分科会で、宮城秋乃さんがオスプレイがやんばるの生き物を脅かしている様子をビデオで報告した

 「安全保障と地方自治」をテーマに講演した宮本氏は、名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡る不作為の違法確認訴訟についても触れ、国が勝訴となった判決結果に「近代的法治国家の政治とは思えない。公有水面埋立法の適法も間違っている」と批判した。

 さらに宮本氏は「日本政府による環境政策の軽視と沖縄における人格権の無視」は根深く、不可逆的・絶対的損失を招く環境破壊を予防するためにも、環境権の確立と環境基本法改正など実行力ある法理の重要性を強調した。

 米軍普天間飛行場が一望できる同大の5号館屋上では体験型見学会「学内エクスカーション企画」もあり、佐藤学沖国大教授が2004年にキャンパス内で起きた米軍ヘリ墜落事故の当時の様子やその後の日米政府の対応などについて解説した。

 最終日の23日は四つの分科会のほか、シンポジウムなどがある。入場無料で誰でも参加できる。