移民史、集大成が完成 豊見城市史 開拓、出稼ぎも網羅


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豊見城市史第4巻移民編の完成をPRする(左から)宜保晴毅市長、吉浜忍教授、町田宗博教授、照屋堅二教育長=10月24日、豊見城市役所

 【豊見城】豊見城市文化課が2004年から12年かけて編集した豊見城市史第4巻移民編がこのほど完成し、11月1日から市役所などで販売が始まった。「本論」625ページと「証言・資料」762ページの2分冊となっており、豊見城出身者の移民や出稼ぎの時代背景や実情、特徴を多数の資料や写真を用いて解説している。南米やアメリカ、ハワイなどの海外移民をはじめ、八重山開拓や関西への本土出稼ぎも網羅している。

 豊見城からは戦前に約3千人が海外移民したとされている。本論の第1章では市内23字の年代ごとの移民者数を表を用いて紹介しているほか、証言・資料では移民177人から聞き取った内容を155本の記事にまとめた。

 市史編集委員長の吉浜忍沖国大教授と移民編専門部会長の町田宗博琉大教授が10月24日、豊見城市役所に宜保晴毅市長と照屋堅二教育長を訪ね、市史移民編の完成を報告した。

 吉浜委員長は「海外だけでなく本土出稼ぎや八重山開拓など豊見城の特徴をとらえた資料となっている」、町田部会長は「証言集は多くの人物を掘り起こし、一人一人のライフストーリーを盛り込んだ。沖縄の移民史の到達点といえるものにできたと思う」と述べた。

 宜保市長は「多くの市民に見ていただき、世界のウチナーンチュ、トミグスクンチュの素晴らしさを知ってもらいたい。足かけ12年の編集作業に感謝する」と話した。

 市史移民編は2冊セットで3千円で販売している。問い合わせは豊見城市文化課(電話)098(856)3671。