沖永良部に琉球の華 山下さん夫妻 芸能指導


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琉球舞踊、琉球古典音楽の歌三線、太鼓の道場を開く(左から)山下幸秀さん、多賀子さんと奄美大島から通う門下生の東浩代さん=4日、鹿児島県和泊町(沖永良部島)

 【沖永良部で古堅一樹】鹿児島県の沖永良部島で琉球舞踊や琉球古典音楽などの琉球芸能が脈々と受け継がれている。和泊町の山下幸秀さん(65)、山下多賀子さん(63)は夫婦で道場を開き、琉球舞踊、琉球古典音楽の歌三線と太鼓の三つを継承する「うるま音楽協会」として門下生約50人を抱える。

 琉舞、三線に加えて太鼓も習えるのは島内で同道場だけという。こうした利点から、奄美大島からも海を渡って門下生が定期的に泊まり込みの稽古に通う。
 山下さん夫妻は「沖永良部島は琉球文化の北限と言われる」「継承者を沖永良部島で育成し、体力の続く限り続けたい」と島での琉球芸能継承への思いを語った。
 和泊町文化協会会長も務める幸秀さんは、三線に親しんでいた父・中綱さんから「(自身は)我流でやっているが、沖縄で本物を習いなさい」と言われたのをきっかけに28歳ごろから人間国宝の城間☆(徳の心の上に一)太郎さんに師事し、本格的に琉球古典音楽の野村流を学んだ。1980年ごろから和泊町で歌三線を指導する。
 琉球舞踊「柳清本流」の師範で与那原町出身の多賀子さんも結婚を機に約8年前から和泊町へ移り住み、夫と同じ道場で琉球舞踊や琉球古典太鼓を指導している。
 奄美大島に住む東浩代さん(60)は月1回、沖永良部島へ渡って2泊3日滞在し山下さん夫妻の道場へ通う。「奄美大島から沖縄まで行って習うことはできないので」と沖縄本島より近い沖永良部島で学べる利点を語る。
 幸秀さんや多賀子さんは「古典にはなじみがない人もいる」と話しつつも琉球古典芸能の味わい深さに触れつつ「きちっとしたもの(古典音楽や琉舞)を伝え、島に普及していきたい」と思いを込めた。