沖縄観光もろさ露呈 7割「サービスに遅れ」 現場は留学生頼み


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 那覇空港第2滑走路の増設や東京五輪を見込んだホテル建設投資が相次ぐ中、沖縄振興開発金融公庫が11日に発表した県内主要ホテルへの調査結果は、今後のホテル開業へ人手不足が足かせ要因となる沖縄のリーディング産業のもろさを浮かび上がらせた。回答したホテルの担当者からは「外国人留学生なしには成り立たない」と既に逼迫(ひっぱく)した状況も報告され、外国人労働者受け入れの法的整備を求める意見が多く上がった。

 人手が足りない部門の不足理由をホテル側に聞くと「シフト制が敬遠される」「他業種に時給の高い仕事がある」「拘束時間が長い」などの回答があった。

 人手不足によるホテル業務への影響は「慢性的に支障あり」と「繁忙時にあり」が合わせて9割を占めた。「スタッフの労働時間の長時間化」が87・8%のホテルで生じており、人手不足から労働環境が悪化し、定着率の悪さに拍車を掛ける悪循環が見られる。

 7割超のホテルが「客室清掃が間に合わないためにチェックインが遅延」が出たと回答し「レストランサービスに遅れ」も7割近くに上った。「提供サービスを一部取りやめた」(25・8%)という回答では、夏季のバーベキューメニューの中止や食事をバイキング形式に変更するなどがあった。

 人手不足への対応では「シフトの見直し」「業務の効率化」「繁忙部門への応援」の取り組みが上位になったが、実施効果については「短期的」と感じている。これに対し「効果は高い」取り組みとして68・0%のホテルが支持したのが、自動精算や自動調理機の導入といった「業務の機械化」だが、実施は32・7%にとどまった。

 ホテル稼働に欠かせない労働力となっているのがネパールを中心とした外国人留学生だ。回答やヒアリングによると、日本語学校や専門学校が多い本島中南部のホテルを中心に、客室清掃や宴会の配膳で留学生アルバイトを確保していた。

 人手不足解消に向けた今後の取り組みでも「外国人労働者の積極採用」の回答が最も多かった。行政への要望でも「客室清掃やレストランサービス等一般労働の受け入れ」「語学やコミュニケーション能力の高い留学生を受け入れるための就労ビザの要件緩和」などの希望が最も多かった。

 調査を担当した伊東祥子上席調査役は、正社員登用や給与水準の引き上げといった待遇の改善、キャリアアップ制度の整備など離職に歯止めをかける環境づくりを強調する一方で「さまざまな業種で人手不足の状況にあることや人口減少時代の到来を勘案すると、従業員満足度の向上だけでは抜本的な解決は難しい」と指摘。「外国人労働者の活用に向けた法整備は喫緊の重要課題だ。業界だけでなく行政も真剣に対策を考える必要がある」と述べた。

 調査は、客室数が50室以上のホテル211件に調査票を送り、100件の回答を得た(回答率47・4%)。ホテルの内訳は高価格帯のラグジュアリーが7件、シティーが16件、リゾートが34件、宿泊主体型・ビジネスが43件だった。