読めますか? テーマは〈廃線決定と維持困難の路線〉です。

釧網線

答え
せんもうせん
(正解率 64%)

北海道網走市の網走駅と釧路市の東釧路駅を結ぶJR北海道の路線。約166㌔。釧路湿原を通る臨時列車「SL冬の湿原号」が2017年1、2月に運行される。同社は単独では維持が困難と判断した。

(2016年11月28日)

選択肢と回答割合

くしあみせん 21%
せんもうせん 64%
こんもうせん 15%


石勝線

答え
せきしょうせん
(正解率 65%)

本線は、北海道千歳市の南千歳駅と新得(しんとく)町の新得駅を結ぶ。石勝線夕張支線(新夕張―夕張、16キロ)は、夕張市がすでに廃止に合意しており、JR北海道は2019年3月にも廃止する。

(2016年11月29日)

選択肢と回答割合

いしかつせん 22%
せきしょうせん 65%
せっかつせん 13%


三江線

答え
さんこうせん
(正解率 71%)

島根県の江津(ごうつ)駅と広島県の三次(みよし)駅を結ぶJR西日本の路線。約108㌔。同社は2018年3月いっぱいでの廃止を決めた。

(2016年11月30日)

選択肢と回答割合

さんこうせん 71%
みえせん 5%
みごうせん 24%


札沼線

答え
さっしょうせん
(正解率 66%)

札幌市の桑園(そうえん)駅と北海道新十津川(しんとつかわ)町の新十津川駅を結ぶJR北海道の路線。「沼」はかつての終点、石狩沼田駅から。北海道医療大学(当別町)―新十津川駅間の約48㌔について、同社は単独維持困難とした。

(2016年12月01日)

選択肢と回答割合

さつぬません 24%
さっしょうせん 66%
さっこせん 11%


留萌線

答え
るもいせん
(正解率 82%)

北海道深川市の深川駅と増毛(ましけ)町の増毛駅を結ぶJR北海道の路線。同駅から留萌駅(留萌市)までの約17キロは12月4日の運行で廃線。留萌ー深川(約50㌔)も、JRは単独維持困難としている。

(2016年12月02日)

選択肢と回答割合

るもいせん 82%
とめもせん 9%
るもえせん 9%

◇結果とテーマの解説

(2016年12月11日)

この週は「廃線決定と維持困難の路線」でした。


釧網線のSL冬の湿原号 by PIRELLI

「留萌線」の一部と「三江線」が廃線決定。いや出題時点ではそうでしたが、留萌線増毛―留萌駅間は今月4日の最終運行をもって「廃線決定」から「廃止」となりました。なお毎日新聞ではJRの「本線」はすべて「線」で統一していますので、留萌本線も留萌線と表記しています。

増毛駅といえば映画「駅 STATION」のロケ地として知られ、2014年に亡くなった高倉健さんをしのんでテレビでも放送されましたので、留萌線に乗って「聖地巡礼」に行ったファンも多かったのではないでしょうか。

なお、廃止になった駅の一つに「阿分(あふん)駅」があります。

「あふん」という女性の車内アナウンスが、聴き方によっては艶めかしく聞こえる駅名だとして、鉄道ファンの間で知られている。

と「難読・誤読駅名の事典」(浅井建爾著、東京堂出版)にあります。どんなアナウンスだったのやら。

出題者は残念ながら留萌線は乗っていませんが、三江線は乗ってきました。といっても時間の都合で1駅分だけでしたが。

実は昨年「読めますか?」で「三次市」を出題した時、三江線にも触れました。「JR三江線沿線の尾関山公園は紅葉の名所。尾関山駅は『紅葉狩(もみじがり)』の愛称がある。だが三江線は廃線が検討されている」

三次駅から一つ目の尾関山駅で降りると、確かに「紅葉狩」のプレートが掲げてありました。三江線は1駅ずつ「戻り橋」とか「滝夜叉姫」とかみやびな愛称を付けています。また萌(も)えイラスト付きのパンフレットを用意するなど、観光客呼び込みに懸命でした。

しかしそんな経営努力もむなしく、18年3月末で終わりを迎えます。皮肉にもそれが観光客の呼び水になり、連日多くの乗客でにぎわっているそうです。

「釧網線」は今回、最も正解率が低くなりました。「釧」の音読みは難読ではありますが、「川」の音読みと同じなので、釧網線を知らなくても答えられたかもしれません。個人的思い出では昔、北海道旅行中に乗っていた車窓から偶然、釧路湿原に沈む夕日を見ることができて、あまりの美しさに息をのみました。「単独では維持困難」とされますが、電車からこんな雄大な湿原を見ることができる路線は他にはないでしょう。

「札沼線」の石狩月形駅近くには明治時代に監獄「樺戸集治監」がありました。山田風太郎の小説「地の果ての獄」NHK大河ドラマ「獅子の時代」で描かれています。石狩の未開の地を開拓したのは政治犯を含む囚人たちだったことがしのばれます。

「石勝線」は名前の由来が分かりにくいのですが、旧国名の「石狩国」と「十勝国」を結ぶことからだそうです。廃止が事実上決まっている夕張支線の沿線の町は映画「幸福の黄色いハンカチ」のラストシーンの舞台となりました。

こうしてみると、映画などを通じ、いつか行きたいと思っていた何千何万という人々の心をJRは次々分断しているのです。もちろん車に乗れない沿線住民の足を奪うことになることも、いうまでもありません。私たちにできることは限られますが、せめて廃線が決まってからではなく、その前に少しでも乗りに行きたいものです。

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